景雲 (航空機)

景雲（けいうん）：日本海軍の試作偵察機

景雲（けいうん）は、太平洋戦争中に日本海軍が試作した偵察機です。その設計は非常にユニークで、胴体の中央に双子型の発動機を配置し、延長した軸を通じて機首のプロペラを回転させるという革新的な構造を持っていました。略符号は「R2Y」で、1945年に行われた試験飛行では、エンジンの不具合により目標とした性能には到達できず、最終的には終戦を迎えることとなりました。

開発背景

1943年、海軍航空技術廠（空技廠）は高速かつ長距離を飛行できる偵察機の開発に着手しました。このプロジェクトの成果が「景雲」であり、最高速度740 km/h、航続距離3,333 km以上を実現することを目指していました。景雲は当時の戦闘機を超える性能を持つことから、様々な最新技術が盛り込まれました。特に、愛知航空機製の高出力エンジン「アツタ三〇型」を並列に配置した「ハ70」が採用され、これが胴体中央に搭載される形となりました。

機体構造と試作経過

機体の設計においては、ドイツ製のHe 119高速爆撃機を参考にし、排気タービン過給器や気密室を完備、操縦席は並列複座、降着装置は前輪式としました。これにより、景雲は日本の航空機とは異なる独特の姿を持つことになりました。

1944年には戦局の悪化によって試作機種の整理が進められましたが、同年秋に開発中の「ネ330」ジェットエンジンの進展が確認され、景雲はその改良型「景雲改」としてジェット攻撃機化が提案されました。これにより、景雲の試作は継続されることとなりました。

試験飛行と性能問題

1945年4月には試作1号機が完成し、5月に木更津飛行場での試験飛行が行われました。しかし、発動機の不具合により、十分なテストを行うことができず、2度目の飛行時にはエンジン室で火災が発生し、緊急着陸を余儀なくされました。最終的に試作機は破壊され、試作1号機の総飛行時間は10分にも満たないものでした。また、終戦時には2号機が組み立て途中であったものの、これも爆破処分されたとされています。

ジェット化の計画とその後

景雲のジェット化については、初期の計画では翼にジェットエンジンを取り付ける案がありましたが、後期の計画では胴体にエンジンを内蔵し、機首にエアインテークを設けるという案が検討されていたとされます。しかし、詳細については不明な点が多いままでした。

ゲーム世界での登場

景雲はそのデザインや性能から、いくつかのゲーム作品にも登場しています。例えば、『艦隊これくしょん -艦これ-』では、レシプロ仕様が「試製景雲（艦偵型）」、ジェット仕様が「噴式景雲改」としてゲーム内に登場しています。また、他のゲームでもその特性を生かした形で使用されており、航空機ファンにとっても注目の存在となっています。景雲の実際の性能や開発意図に対する様々な見解は、今日でも多くの議論を呼んでいます。

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