晴れ時々たかじん

『-TV MAGAZINE- 晴れ時々たかじん』：異色のワイドショーが切り開いた波瀾万丈の軌跡

1988年10月3日から1992年3月27日まで、朝日放送（ABCテレビ）で放送された昼のワイドショー『-TV MAGAZINE- 晴れ時々たかじん』。司会を務めたやしきたかじんの個性と斬新な企画が話題を呼び、関西ローカル番組ながら高い人気を獲得しました。本番組は、映画『晴れ、ときどき殺人』をヒントに命名され、従来のワイドショーの枠にとらわれない独自のスタイルを確立しました。

従来のワイドショーへの反骨精神と革新的な企画

たかじんは、料理、占い、温泉めぐりといった当時のワイドショーの定番企画をすべて排除。代わりに、月曜日のニュース解説、火曜日のミニドキュメント、水曜日の電話相談、木曜日のゲストとの対談、金曜日のパネルディスカッションなど、多様な企画を展開しました。特に、たかじん考案の「パネル芸」は番組の大きな特徴となり、後の彼の番組でも定番となりました。

番組は関西ローカルとしてスタートしましたが、広島ホームテレビ、九州朝日放送、北陸朝日放送などへネットされ、特に広島での視聴率は関西に次ぐ高さを記録。広島からの生放送も行われたほどでした。高校野球の中継などで番組が休止となる場合も、ネット局への裏送りや再放送番組で対応するなど、工夫が凝らされていました。番組終了時には、太陽とたかじんの顔をあしらったシンボルマークが16枚も表示される、独特の演出で幕を閉じました。

視聴率低迷からの奇跡的復活劇

開始当初は視聴率が2%にも満たず、番組打ち切り寸前まで追い込まれた『晴れ時々たかじん』。しかし、たかじんはABCアナウンス部長との出来事をきっかけに奮起。番組内容を徹底的に見直し、視聴率向上に全力を注ぎ込みました。その結果、番組は徐々に人気を獲得し、最終的には13%を超える高視聴率を記録。平日の昼の2時台としては異例の数字でした。最高視聴率は19.7%にまで達しました。

番組終了とABCとの確執

番組終了の背景には、たかじんのABCとの確執がありました。東京での活動本格化を機に番組を終了させたいと考えていたたかじんは、後継者として桂べかこ（現：桂南光）を懇願。番組終了後、べかこは『べかこの自遊時間』を引き継ぎました。番組終了後の慰労パーティーで役員から放たれた「なぜ視聴率を取れるのか分からない」という発言に激怒したたかじんは、ABCのレギュラー番組出演を生涯拒否。その後も、ABCの話題になると強い批判をするようになりました。

番組の裏側と意外なエピソード

たかじんは当初、番組の司会を引き受けることに消極的でしたが、自宅購入を強いられたことや、金銭的な事情から出演を決意。番組制作への取り組みは並外れたもので、やる気のないスタッフを叱咤激励したエピソードも伝えられています。また、放送中はABC局から自転車で3分ほどの自宅から5分前に出発し、放送後も局に長居するなど、番組への情熱を燃やしていました。

1991年の普賢岳噴火の際には、たかじんが独自取材を行い、被害者の窮状や行政の対応などを放送。大きな反響を呼びました。番組開始日はたかじんの39歳の誕生日と重なり、番組テーマソング『晴れときどきTAKAJIN』も名物となりました。

出演者とスタッフ

番組の成功には、たかじんをはじめとする多くの出演者、スタッフの貢献が不可欠でした。アシスタントの安井ゆたか、パートナーとして新野新、山本晋也、横山ノック、桂べかこ（現：桂南光）、道上洋三、加藤みどり、北野誠、立原啓裕、トミーズ雅、亀山房代、伊藤秀志、桂坊枝、リリアン、桂きん太郎、代理司会を務めた帯谷孝史ら、個性豊かなメンバーが番組を盛り上げました。構成作家には吉田清、古川嘉一郎、北野義則、大福らが名を連ね、その他、技術、美術、制作協力など、多くのスタッフが関わっていました。

『-TV MAGAZINE- 晴れ時々たかじん』は、たかじんの強烈な個性と、従来のワイドショーとは異なる斬新な企画、そして制作スタッフの熱意によって生み出された、伝説的な番組と言えるでしょう。視聴率低迷からの復活劇、番組終了を巡るエピソードなど、数々のドラマを秘めた『晴れ時々たかじん』は、日本のテレビ史にその名を残す番組の一つです。

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