智満寺の十本スギ

智満寺の十本スギ

智満寺の十本スギ（ちまんじのじっぽんスギ）は、静岡県島田市千葉にある千葉山の中で見られる特別な巨木群です。この巨木たちは、智満寺の開山や再建の際に植えられたと伝わり、樹齢は「開山スギ」が推定1200年、他の9本も850年以上とされています。1962年に国の天然記念物に指定されたものの、その後「開山スギ」と「子持スギ」は枯れてしまいました。残った8本の中では、源頼朝が植えたとされる「頼朝スギ」が特に注目されています。

智満寺の歴史

十本スギの名が冠された智満寺は、千葉山の標高468メートルの位置にある仏教寺院で、奈良時代の宝亀2年（771年）に建立されたと言われています。この寺は修験道の霊場として栄え、源頼朝や今川氏、徳川氏など、多くの武将からの信仰を集めました。智満寺は歴史的にも重要な場所であり、その本堂は天正17年（1589年）に建てられ、1966年には国の重要文化財に指定されています。

十本スギの由来と各木の特徴

千葉山には、10本のスギの木が点在しています。それぞれの木には名前が付けられ、総称して「十本スギ」と呼ばれています。以下はその10本のリストです:

• - 頼朝スギ（よりともスギ）
• - 子持スギ（こもちスギ）
• - 開山スギ（かいざんスギ）
• - 大スギ（おおスギ）
• - 達磨スギ（だるまスギ）
• - 雷スギ（かみなりスギ）
• - 常胤スギ（つねたねスギ）
• - 経師スギ（つねもろスギまたはきょうじスギ）
• - 一本スギ（いっぽんスギ）
• - 盛相スギ（もっそうスギ）

「開山スギ」は智満寺を開山した広智が手植えしたとされ、推定樹齢は1200年です。一方、他の9本は源頼朝の命で千葉常胤が植えたもので、850年以上の樹齢があると見られています。特に「頼朝スギ」は源頼朝自身が植えたという伝説があり、その樹齢も800年に近いとされるほどの巨木です。全体的に、十本スギはいずれも幹囲が8メートルから11メートル、樹高25メートルから45メートルに達する巨木です。

環境への影響と保存の歴史

明治時代には、十本スギは伐採の危機に直面しました。安倍川の架橋用材として利用される計画が持ち上がった際、智満寺の住職が強く反対し、それぞれの木の由来を説明しながら伐採を阻止しました。しかし、時が経つにつれ、スギの木々も自然の影響を受け、倒木や枯死する木々が見られるようになりました。

2012年には、「頼朝スギ」が倒木するという出来事がありました。豪雨による根元の空洞化が原因とされ、智満寺の境内で唯一見ることができたスギが失われました。倒れた木は後に50トンの重さがあったと言われ、その一部は仏像制作に活用されることになりました。「頼朝スギ」の木材から作られた弥勒菩薩像は、未来を見据えた信仰の表れとして重要視されています。

アクセス

智満寺の十本スギは、静岡県島田市千葉254に位置し、JR東海東海道本線の島田駅からタクシーで約25分、藤枝バイパス「野田IC」からは車で約10分の距離にあります。訪れる際には、山中を trek しながらこの神秘的な巨木たちの魅力を感じることができるでしょう。

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