暁征丸

暁征丸（ぎょうせいまる）

暁征丸は、第二次世界大戦中に日本陸軍によって使用された砲艦であり、元々は中華民国のために建造されていた未成艦です。香港の九龍ドックで起工されたこの艦は、1941年12月の香港の戦いで日本陸軍に鹵獲されました。日本側は当初からこの艦を陸軍の護衛艦艇として改造する計画を立て、高射砲、野砲、爆雷、さらには対潜用のソナーを搭載して艦艇としての能力を向上させました。

この艦に「暁」の名前が付けられたのは、日本陸軍が鹵獲した船舶に対する特定の命名基準によるもので、全体の管理を陸軍船舶司令部が担っていました。暁征丸は「警備艇」のカテゴリーに分類され、戦争の進行と共にその運用が重要になっていきました。

1942年11月からは、前述の「暁南丸」の乗員を加え、乗員の強化が図られました。その後、1944年4月には陸軍独自の護送船団が編成され、暁征丸は第1護衛船隊に配備されることとなります。この護衛船隊には、他に「錦州丸」や「第三警南丸」、さらには強力曳船「円島丸」と「准河丸」が含まれていました。船砲隊を指揮したのは前田中尉で、彼とその隊員たちは護衛任務にあたりました。

暁征丸は、その初護衛任務を1944年5月下旬にシンガポールからマニラまでの航路で実施し、続いてマニラから高雄港への貨物船護衛も担当しました。この任務の際には、バシー海峡での悪天候やエンジントラブルにより一度は船団から落伍することとなりましたが、その後もマニラを拠点に周辺の護衛任務を続けました。

8月にはボルネオ島の航路での護衛任務をこなすなど、戦争が進むにつれてその活動範囲を広げていきました。しかし、1944年半ばにはアメリカ軍の攻勢が強まると、さらなる南方への撤退を余儀なくされ、ジャワ島やスマトラ島方面での護衛任務に従事しました。

1945年には、シンガポールからジャカルタ行きの船団護衛を行っており、敵潜水艦との交戦も経験しています。また、同年6月下旬には敵潜水艦の襲撃を受け、護衛中だった輸送船を撃沈される等、多くの危機にさらされましたが、艦は終戦まで沈没を免れました。

戦後、日本が降伏した後には、連合国軍の指示でジャカルタからレンバンへの日本兵輸送を担当しました。その後、オランダ軍によって「ルイメス」という名前に改名され観測船として再起用されました。暁征丸はその艦歴を通じて、多くの護衛任務を成功裏に遂行し続けた歴史を持つ艦艇として知られています。

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