暗闇仕留人

暗闇仕留人

『暗闇仕留人』は1974年6月29日から12月28日まで、毎週土曜日の22時から22時55分に放送された時代劇で、全27話から成っています。本作は朝日放送と松竹の制作によって、TBSテレビ系で放送されました。主演は、名優石坂浩二が務め、彼が演じる中村主水が登場する必殺シリーズの第4作目にあたります。

概要

本作は前作『助け人走る』からの流れを汲んでいますが、タイトルから「必殺」の文字が外されており、作風は『必殺仕置人』に近いものとなっているのが特徴です。中村主水を始めとする、鉄砲玉のおきん、おひろめの半次などのキャラクターが再登場し、ストーリーは彼らの苦悩や成長が主題となっています。特に、糸井貢は人を殺すことの意味について深く考え、葛藤を抱える描写が見られます。

番組の製作は、当初は別の作品を考えていたものの、プロデューサーの山内久司の意向で中村主水のキャラクターに焦点を当てる形になりました。タイトルの変更についても興味深い経緯があり、元々『暗闇始末人』という名前で進行していましたが、時代小説と似通ったタイトルのために、作者の結城昌治からの要望で現在のタイトルに決まりました。

時代背景とキャスト

物語は幕末の黒船来航以降を舞台にしていますが、時系列の混乱については特に言及されていません。主要キャストには、中村主水役の藤田まこと、鉄砲玉のおきん役の野川由美子、おひろめの半次役の津坂匡章などが含まれます。物語の進行に伴い、彼らの人間関係や葛藤も描かれ、ドラマの中に厚みを与えています。

あらすじ

物語は黒船来航の影響を受けた江戸を舞台に、奉行所による夜鷹狩りの中で始まります。女髪結いのおそのが夜鷹として捕らえられ、それを目撃した村雨の大吉は同心に斬りかかります。そこに現れた中村主水との緊迫したやり取りが、この物語の導入となります。主水は再び裏の仕事でおきんと半次を誘い、人手不足を補おうとします。

おそのが攫われる事件から始まり、主水は必死に彼女を救い出そうと動きますが、悲劇的な瞬間が訪れ、物語は加速していきます。主水、大吉、糸井の3人は義兄弟であることが判明し、彼らは仕留人として力を合わせて悪人たちに立ち向かう決意を固めます。この連携の中で、彼らは次第に互いの存在によって成長し、苦悩することになります。

主題歌と流行語

本作の主題歌は西崎みどりによる「旅愁」で、オリコンチャートでの評価も高く、58.1万枚の売り上げを記録しました。また、劇中で妙心尼が発する「なりませぬ」というセリフは流行語となり、多くの視聴者の記憶に残っています。

キャラクター描写

登場人物たちのバックグラウンドや内面的葛藤も、物語をより深くする要素となっています。例えば、糸井貢は妻のあやを失ったことで、裏稼業への視点が変わり、プロの殺し屋としての自覚を持つようになります。村雨の大吉は情に厚く、プライドを持つ一方で、その意義に疑問を持つようになり、物語にさらなる深みを加えています。

『暗闇仕留人』は、役者たちの演技力や脚本の深さによって、視聴者に強い印象を残す作品となり、必殺シリーズの中でも特に記憶に残る作品となりました。

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