暴走パニック 大激突

映画『暴走パニック 大激突』の概要

『暴走パニック 大激突』（ぼうそうパニックだいげきとつ）は、1976年2月28日に日本で公開された映画です。本作は、主演を渡瀬恒彦が務め、監督は深作欣二が担当しました。制作は東映京都撮影所によって行われ、配給も東映が行っています。また、併映作品として『横浜暗黒街 マシンガンの竜』（主演：菅原文太）も公開されました。

映画の背景

この映画は、同年に中島貞夫監督によって公開された『狂った野獣』とともに、「日本におけるカーアクション」を真剣に模索する作品として評価されています。特に、本作は「日本で最初のカーチェイス映画」とも言われており、西洋映画で一般的な強盗やカーアクションの要素が日本映画でどのように融合するかが探求されました。それまで日本にはHEIST映画やカーアクション映画のスタイルがほとんど存在せず、この作品はその突破口となりました。

本作の監督である深作は、過去に実録映画を多く手掛けていましたが、そのスタイルに疲弊していたとのことで、本作の企画に参加することを決めました。この作品は、後に『いつかギラギラする日』（1992年）の原型とも言われており、深作の独自性が色濃く反映された作品となっています。

プロットのあらすじ

物語は、ブラジルでの豪華な生活を夢見るバーテンの山中高志が、仲間の関光男と共に銀行強盗を繰り返すところから始まります。彼らは派手なフェイスマスクを着用し、ショットガンを持って行動します。しかし、神戸の銀行を襲った際、関がトラックにひかれて命を落とします。山中は、カーチェイスの末に逃げることに成功しますが、関の身元が明るみに出てしまいます。

逃亡の準備を進める山中の前に、関の兄・勝男が現れ、弟の慰謝料の代わりに強奪金をむしり取ろうと執拗に追いかけてきます。この時、山中は指名手配されており、警官の畠野も捜査を始めます。こうして、一般車やバイク、暴走族を巻き込む三つ巴のカーチェイスが繰り広げられ、この様子は大パニックへと発展します。

製作スタッフ

本作の企画には本田達男と杉本直幸が名を連ね、脚本は神波史男、田中陽造、深作欣二が協力して執筆しました。撮影は中島徹、音楽は津島利章が担当し、編集は市田勇が行いました。カーアクションのシーンは東洋レーシングによって手掛けられました。

キャスト

主なキャストには、山中高志役の渡瀬恒彦をはじめ、杉本美樹、関光男役の小林稔侍、渡辺やよい、風戸佑介などが出演しています。特に、渡瀬は実生活でもカーマニアとして知られており、をリアルに演じることができました。

評価と影響

本作は、深作監督による新しいアクション映画のスタイルを切り開き、後の日本映画に大きな影響を与えました。実録を基にしたジャンルから、より劇画的でアクション映画に特化した方向性への転換を促しました。特に東映の「仁義なき戦い」シリーズの流れを受け継いだ本作は、その後のカーアクション作品において重要な役割を果たしました。

本作は、日本映画のカーアクションの先駆けとして、多くの映画ファンに記憶される作品となりました。

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