曙出版

曙出版の歴史と業績

曙出版（あけぼのしゅっぱん）は、1948年に創業された日本の出版社であり、東京都に本社を置いていました。創業者の土屋弘によって設立され、最初は東京都文京区曙町にオフィスがありました。その後、練馬区を経て新宿区矢来町へと拠点を移しました。

出版の始まり

曙出版は、設立当初から子供向けの世界名作文学や美談、歴史系の漫画や絵物語など、多様なジャンルの書籍を手がけていました。時代劇や母恋い少女もの、戦記ものなど、その時々の流行に合わせた多数の単行本が出版されました。赤本や貸本で業績を伸ばし、1960年代にはコミックや児童書を中心に多くの作品を刊行するようになりました。

この頃、曙出版は『おそ松くん』や『天才バカボン』で知られる漫画家、赤塚不二夫を輩出し、日本の漫画史にその名を刻むことになります。1960年には、実用書や人文書専門の部門が独立し、土屋書店として別法人を設立しました。

変遷と提携

2004年には、編集プロダクションを経営していた岩尾悟志が曙出版に経営陣として参画しました。2006年にメディアックスと業務提携を結び、曙出版の展開を進めました。2012年までは、レディースコミック雑誌や成年向け雑誌の発行も行っていました。これにより、女性や成人向けといった新しい市場にも目を向けることができました。

曙出版から分離した土屋書店は、その後滋慶学園の傘下に入り、最終的には「株式会社滋慶出版」として社名を変更。2018年には商業出版事業が分社化され、「つちや書店」として再興されることとなります。

過去の雑誌とコミックス

曙出版はその出版活動の中で、多くの雑誌や書籍を世に送り出しました。雑誌には「天狗少年」や「スーパーコミック」、「実話@BOOING」などがあり、すべて現在は絶版となっています。

特に注目すべきは、「アケボノコミックス」というコミックシリーズで、1968年から1977年にかけて発行され、350冊以上の作品が公開されています。曙出版は、自社の雑誌を持っていなかったため、他社の雑誌に連載されていた作品や貸本作家の新作を次々と刊行しました。この特徴によって、さまざまな作品がアケボノコミックスとしてまとめられました。

赤塚不二夫は曙出版との関係が深く、彼のデビュー作である『嵐をこえて』を含む多くの作品がこの出版社から刊行されました。赤塚の作品のブーム到来と共に、曙出版は彼のほぼすべての作品をアケボノコミックスとして出版しました。

曙出版の影響

曙出版は日本の漫画界に多くの影響を与えた出版社であり、赤塚不二夫のような著名作家を多数輩出しました。コミック分野からはギャグやコメディ作品が多く生まれ、さらにはホラー作品など多彩なジャンルが網羅されることにより、幅広い読者層に支持されていました。

1977年以降は新しいアケボノコミックスの発行がなくなり、2005年にはコミック事業から撤退しましたが、その業績と影響は今もなお日本の出版史に色濃く残っています。

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