曜変天目茶碗 (藤田美術館)

曜変天目茶碗の魅力

曜変天目茶碗（ようへんてんもくぢゃわん）は、日本の国宝に指定されている茶碗で、特にその美しさと希少性から高く評価されています。この茶碗は、藤田美術館に所蔵されており、現存するたった3つの曜変天目茶碗のひとつです。特筆すべきは、この茶碗だけが外側にも独特の光彩が現れている点です。

曜変天目茶碗とは

曜変天目茶碗は、宋代に中国の福建省建陽市で作られた黒釉茶碗の一種です。日本における「天目」という用語は鎌倉時代に生まれたものであり、黒釉茶碗全般を指します。当時の最高級の茶は白色であったため、それを引き立てる黒い茶碗が非常に人気を集めました。特に、禅宗寺院では多く使われていました。

「曜変」という言葉も日本で発展したもので、黒釉の斑紋の周囲に美しい青や虹色の光彩が現れる茶碗を表します。曜変の美しさは、窯の中での偶然の変化によって生み出されるとされ、具体的な生成メカニズムは未だ解明されていません。

現存する曜変天目茶碗は、静嘉堂文庫、藤田美術館、そして龍光院にそれぞれ一品ずつ所蔵されています。その中でも藤田美術館のものは特に美しさが際立つと言われています。

外観と特徴

この茶碗の寸法は高さ6.8センチ、口径13.6センチというコンパクトな形状で、典型的な天目形をしています。高台は施釉されていない土見せであり、器形は漏斗状で口縁部がすぼまっています。口縁部の赤い部分は修繕された跡で、その上に銀合金の覆輪があります。

黒釉は腰までかかっており、斑紋の周囲には鮮やかな光彩が見られます。この光彩は藍色や水色に輝き、なんとも魅力的です。内面はさまざまな形の斑紋が点在し、その美しさと繊細さが鑑賞者を惹きつけます。特に、この茶碗には内側だけでなく外側にも斑紋が存在し、三つの曜変天目の中でも唯一の特徴を持っています。

付属品とその来歴

曜変天目茶碗には4重の箱が付属していて、外側の箱は春慶塗で「御茶碗曜変」と書かれています。内側の箱は藤田家の家紋付きで、さらに水戸徳川家の箱も付属しています。また、紫色の縮緬袋も含まれています。

この茶碗の最初の記録は徳川家康にまで遡るもので、後に水戸藩に伝わり、その後藤田平太郎に引き継がれました。1951年に藤田美術館が設立された際、この茶碗も同館に移管され、現在も所蔵されています。1953年には文化財としての価値が認められ、重要文化財、国宝に指定されました。

理化学的研究

2016年には国宝に指定された曜変天目茶碗に関する研究が行われ、電子顕微鏡や蛍光X線分析などが実施されました。研究によると、黒釉の成分は主にアルミニウム、ケイ素、カリウム、カルシウム、鉄から構成されています。また、光彩の発色に関しては、従来の通説に基づく構造色説が確認されました。

評価

曜変天目茶碗は、同じく曜変天目の茶碗と並んで美術的に高く評価されています。特にその上品な美しさは、他の茶碗と比較しても際立っています。芸術家や専門家たちは、この茶碗の美しさや価値を絶賛し続けています。名品としての地位を確立し、日本文化の象徴とも言える存在です。

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