静嘉堂文庫

静嘉堂文庫について

静嘉堂文庫（せいかどうぶんこ）は、東京都世田谷区岡本に位置する専門図書館で、日本および東洋の古典籍や古美術品を収蔵しています。この文庫は、三菱財閥の2代目総帥である岩崎弥之助と4代目総帥の岩崎小弥太によって設立された基金のもとで運営され、特に研究者に向けての情報提供や資料公開に力を入れています。また、千代田区の静嘉堂文庫美術館では、アートコレクションが一般に公開されています。

概要

静嘉堂文庫は、公益財団法人静嘉堂が管理しており、そのコレクションは岩崎家に由来しています。「静嘉堂」という名称は、古典詩『詩経』から取られています。この文庫は、古典籍や美術作品の研究を奨励し、特に大学生以上の研究者に対しての利用が可能です。訪問者は、事前の予約と紹介状が必要です。

文庫の蔵書は非常に貴重で、特に宋や元の版本を含む原本が多く、一般の図書館では見ることのできない独自の資料が揃っています。本来は原本を直接見ることができるため、学術的な研究や調査にとても役立ちます。ただし、貴重な資料はコピーが制限されており、マイクロフィルムからの複写のみが許可されています。

コレクションの概要

静嘉堂文庫のコレクションは、約20万冊の古典籍と約6500点の東洋古美術品から成り、国宝7件や重要文化財84件を含んでいます。コレクションの中には、俵屋宗達の『源氏物語関屋及澪標図』や曜変天目茶碗といった貴重な美術品が含まれており、これらは日本文化の重要な一部を形成しています。

弥之助は、自身の古典籍収集を始め、特に漢学を学んだことで、古典を守ることに意義を見出しました。彼の死後、息子の小弥太がその意志を引き継ぎ、より一層コレクションを充実させていきました。特に陶磁器に力を入れた小弥太は、国宝の曜変天目茶碗を所有しており、これは極めて貴重な美術品とされています。

歴史的経緯

静嘉堂文庫の歴史は、1892年に遡ります。当初は神田駿河台に設立され、その後さまざまな変遷を経て、現在の世田谷区岡本に移転しました。1940年には財団法人静嘉堂が設立され、文庫の永続的な運営が図られました。さらに、1953年には国立国会図書館の支部図書館となり、資料公開が続けられましたが、その後1970年に再び私立図書館として独立しました。

アートと知識が融合するこの静嘉堂文庫は、古典籍の保存だけでなく、美術品の展示も大変重要な役割を持っています。1992年には100周年を祝う新館が開館し、2021年には新たに明治生命館に美術館を移転し、現代の美術ファンにもその魅力を伝えています。

美術館について

静嘉堂文庫美術館（愛称「静嘉堂＠丸の内」）は、2022年に一般公開を開始し、多くの芸術作品を展示しています。近代的な展示スペースは、訪れる人々に新たな視点を提供し、日本の文化を広く知ってもらうための重要な場となっています。また、静嘉堂文庫の周辺には美しい庭園も整備されており、訪問者は自然の中でリラックスした時間を過ごすことができます。

このように、静嘉堂文庫は日本の文化遺産を大切に守り続けており、研究者だけでなく、一般の人々にもその魅力と価値を伝えるための活動を行っています。

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