書院 (東アジア)

書院の概要

書院（しょいん）は、中国が起源の教育機関であり、漢字文化圏に位置する日本、朝鮮、ベトナムへと広がりました。前近代において、特に民間の私塾として重要な役割を担った書院は、宋代以降の中国において政府からも奨励されました。

中国における書院の歴史

書院の起源は唐代にさかのぼります。開元13年に、唐の皇帝は麗正殿を集賢殿に改名し、書院を設立しました。ここでは、学士たちが古今の文献を校勘し、重要な書物を集める活動が始まりました。貞元年間には、学者の李渤が廬山の白鹿洞で読書し、その後南唐で学館が設けられ、白鹿洞書院として知られるようになりました。

このように、宋代には政府による書院の設立が奨励され、多くの書院が民間や政府によって設立されました。「四大書院」と呼ばれる著名な書院として、白鹿洞書院（江西廬山）、応天府書院（河南商丘）、嵩陽書院（河南太室山）、岳麓書院（湖南岳麓山）があります。元代には、書院は政府の監視下に置かれ、科挙試験を準備するための学校として機能しました。明代には、政治問題に関わる書院が現れ、保守的な立場から弾圧を受けることもありました。

清代になると、科挙を目的とした数千もの書院が設立されましたが、その中には思想研究を目的とする書院もありました。清末に科挙制度が廃止されると、書院は「学堂」と改名され、近代中国の大学の基礎となりました。

中華人民共和国成立後には、文化大革命の影響で書院に関する建物が破壊されることがありましたが、1990年代以降は復興に向けた取り組みが進んでいます。例えば、白鹿洞書院は世界遺産に登録されており、観光地としても注目されています。

朝鮮における書院の発展

朝鮮半島での書院の発展は1542年に建設された紹修書院から始まります。現在では637の書院が存在しますが、その中には小規模なものから大規模なものまで様々です。特に、陶山書院や道東書院などは五大書院と呼ばれ、屏山書院と玉山書院は世界遺産にも登録されています。

2016年、書院群が世界遺産として推薦されましたが、さまざまな理由から登録延期となる事案もありました。その後も議論が続き、最終的に「書院、韓国の性理学教育機関群」として登録されることが決定しました。北朝鮮においても崧陽書院が世界遺産の構成資産に認定されています。

日本における書院

日本においては、書院は科挙制度とは関係がないため、中国や韓国に見られるような書院制度は根付いていませんでした。しかし、江戸時代に藩校や私塾、寺子屋が発展し、これらは書院に匹敵する教育機関と見なされることもありました。また、日本の庭園や建築様式には書院造りの影響が見られます。

ベトナムとその他の地域の書院

ベトナムにも書院が存在し、華人が現地に設立した書院もあります。例えば、1729年にインドネシアに設立された明誠書院などはその一例です。これらの書院は、儒教の教えに基づいた教育を行い、文化の普及にも寄与しました。

全体として、書院は東アジアの歴史や文化に深く根ざした教育機関であり、それぞれの地域で独自の発展を遂げてきました。

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