曽我梅林

曽我梅林について

曽我梅林は、神奈川県小田原市北東部に位置し、別所、原、中川原の3つの梅林からなる梅の名所です。約35,000本の梅の木が栽培されており、主に白梅が中心ですが、紅梅も楽しむことができます。この地域は、関東三大梅林の一つとして数えられることもあり、多くの人々が訪れます。

歴史

小田原市と梅の関わりは古く、市章にも梅の花がデザインされています。戦国時代には後北条氏が梅を植え始め、江戸時代には小田原藩主の大久保忠真が栽培を奨励したという説が一般的ですが、史料に乏しいことから異論も存在します。小田原では、塩田で生産された塩と梅を使い、旅人のための梅干しが作られてきました。江戸時代には、東海道中膝栗毛にも小田原の名産として梅漬けが紹介されています。

明治時代に入ると、戦時の梅干し需要の増加により生産量が急増しましたが、第二次世界大戦後には需要の減少や温州みかんへの転換により衰退しました。しかし、昭和30年代に小田原市長の鈴木十郎が梅の復興を提唱し、「小田原梅研究同志会」が発足したことで、梅は小田原の特産品として復活しました。全国梅サミット協議会にも参加しており、過去には小田原市内でイベントも開催されています。

農業生産

神奈川県は、全国でも有数の梅の産地であり、小田原市は県内最大の梅の栽培面積と収穫量を誇ります。曽我梅林では、観賞用の紅梅よりも実の生産を目的とした白梅が多く栽培されています。主な品種としては、梅酒用の「白加賀」、梅干し用の「十郎」「南高」などがあります。特に「十郎」は、神奈川県で開発されたオリジナル品種であり、曽我兄弟の一人にちなんで命名されたとされています。

かつて「幻の梅」と言われた杉田梅も、曽我梅林に移植された木から接ぎ木によって復元されました。出荷時期は関東地方では比較的早く、5月から6月にかけて出荷されます。近年では、和歌山県産の南高梅との競合に苦しんでいますが、小田原市梅研究会と県農業技術センターが協力し、早生品種「十郎小町」を開発しました。また、「曽我の梅干し」は、2023年に文化庁の「100年フード」にも認定されました。

観光

曽我梅林は、「かながわの景勝50選」や「かながわの花の名所100選」に選定されており、曽我山からの眺めは「関東の富士見百景」にも選ばれています。2月頃には梅の花が見頃を迎え、「小田原梅まつり」が開催されます。この時期には、別所会場で寿獅子舞や梅の種飛ばし大会などのイベントが催され、原会場では流鏑馬も行われます。会場には、JR御殿場線下曽我駅から徒歩でアクセスでき、周辺には史跡やハイキングコースもあります。また、梅に関する展示を行う「梅の里センター」や、小田原牧場アイス工房などもあり、観光客を楽しませています。交通手段としては、路線バスや高速道路が利用できます。観梅シーズンには有料駐車場が開放されます。

まとめ

曽我梅林は、梅の栽培と歴史、そして観光資源としての価値が高い地域です。梅の花が咲き誇る時期には、多くの人々が訪れ、その美しさを堪能しています。また、地域で生産される梅は、梅干しや梅酒などの加工品としても楽しまれ、小田原市の重要な特産品となっています。

もう一度検索