大久保忠真

大久保忠真について

大久保忠真（おおくぼ ただざね）は、江戸時代後期に相模国小田原藩の第7代藩主を務めた人物であり、幕府の老中としても活躍しました。小田原藩大久保家の9代目当主にあたります。

生涯

忠真は、第6代藩主・大久保忠顕の長男として生まれました。寛政8年（1796年）に父の死により家督を継ぎ、小田原藩主となりました。

藩政改革と二宮尊徳

江戸時代後期、小田原藩は財政難に苦しんでおり、藩政改革が急務となっていました。忠真は、財政再建の実績を持つ二宮尊徳に改革を託すことを決意します。しかし、藩の重役たちは身分秩序を重んじ、尊徳の登用には反対しました。そこで、忠真はまず文政5年（1822年）に、尊徳に下野国桜町（宇津家の知行地）の復興を依頼しました。桜町は荒廃が進み、収穫が大幅に減少していましたが、尊徳は見事に復興を成し遂げます。

この成功を受け、忠真は重臣たちを説得し、小田原藩の改革を尊徳に依頼しました。金1000両や多くの米を支給し、改革を支援しました。天保8年（1837年）のことでした。尊徳の農村復興はほぼ成功しましたが、忠真が57歳で急死したため、尊徳は後ろ盾を失い、小田原藩の改革は保守派の反対により頓挫しました。

また、文政5年（1822年）には、藩校である集成館（現在の小田原市立三の丸小学校の場所にあった）を設立しました。この藩校は、明治維新後に変遷を経て、六郡共立小田原中学校となり、さらに神奈川県立秦野高等学校や神奈川県立平塚農業高等学校へと発展していきました。

幕政での活躍

幕府においては、松平定信の推挙により老中となり、20年以上もの長きにわたりその職を務めました。政治手腕は同僚の水野忠邦に比べると目立たないものの、矢部定謙、川路聖謨、間宮林蔵といった下級幕吏を積極的に登用・保護しました。特に、間宮林蔵は蝦夷地や樺太の探検で名を馳せた人物です。

年譜

1778年（安永7年）：誕生
1796年（寛政8年）：小田原藩を相続
1800年（寛政12年）：奏者番
1804年（文化元年）：寺社奉行兼務
1810年（文化7年）：大坂城代
1815年（文化12年）：京都所司代
1818年（文政元年）：老中
1837年（天保8年）：在職中に死去、享年60

官位

1792年（寛政4年）：従五位下出羽守
1796年（寛政8年）：安芸守
1815年（文化12年）：従四位下侍従・加賀守

系譜

父：大久保忠顕
母：杉山氏（側室）
正室：典（蜂須賀治昭の娘）
側室：伴氏
子女：
大久保忠脩（長男、生母は伴氏）
逸（牧野忠雅正室）
大久保偶子（加藤明邦正室のち本庄宗秀継室）
養子：大久保忠愨（大久保忠脩の長男）

もう一度検索