最小軌間鉄道

最小軌間鉄道とは

最小軌間鉄道とは、狭軌鉄道の中でも、特に軌間が2フィート（約610mm）または600mm以下の非常に狭い軌間を持つ鉄道のことです。一般的には、381mm、400mm、457mm、500mmといった軌間がよく見られます。

この鉄道のルーツは1870年代に遡り、イギリスのアーサー・ヘイウッドが庭園鉄道向けに、フランスのポール・ドコービルが産業鉄道向けに開発したのが始まりとされています。

ミニチュア鉄道との違い

最小軌間鉄道と混同されやすいものに、ミニチュア鉄道があります。主な違いは、ミニチュア鉄道が実物の鉄道を縮小したモデルであるのに対し、最小軌間鉄道は実用的な輸送手段としての側面を持っている点です。

ミニチュア鉄道の中には、ウィックスティード公園のように610mmの軌間を持つものもありますが、最小軌間鉄道には、ラドヤード湖蒸気鉄道のように260mmというさらに狭い軌間を持つものも存在します。

主な役割

最小軌間鉄道は、そのルーツからも分かるように、主に産業鉄道や専用鉄道として利用されてきました。しかし、現在では観光鉄道としての役割も担うものが多く、観光客輸送を主な目的とし、収益を上げるために活用されています。

車両の特徴

最小軌間鉄道の車両は、一般的に車両限界を最大限に活かして製造されています。つまり、軌間に対して可能な限り大きな寸法で製造されているのが特徴です。これは、輸送能力を最大限に引き出すための工夫と言えるでしょう。一方で、転倒を防ぐために十分な安定性も確保されています。

最小軌間鉄道の例

以下に、世界各地で見られる代表的な最小軌間鉄道の例を挙げます。

アショーン・ハール鉄道 (Ashorne Hall Railway)
アッシニボイン・バレー鉄道 (Assiniboine Valley Railway)
イートン・ホール鉄道 (Eaton Hall Railway)
カークリーズ軽鉄道 (Kirklees Light Railway)
クリーソープス・コート軽便鉄道 (Cleethorpes Coast Light Railway)
サンディー・リッジ・アンド・クリアー・レイク鉄道 (Sandy Ridge & Clear Lake Railway)
サンデー軽便鉄道 (Sanday Light Railway)
サンド・ハットン軽便鉄道 (Sand Hutton Light Railway)
スカーバラ・ノース・ベイ鉄道 (Scarborough North Bay Railway)
ダッフィールド・バンク鉄道 (Duffield Bank Railway)
ビクトン・ウッドランド鉄道 (Bicton Woodland Railway)
ビュア・バレー鉄道 (Bure Valley Railway)
ヘストン蒸気博物館 (Hesston Steam Museum)
ペリーグローブ鉄道 (Perrygrove Railway)
メドウズ・アンド・レイク・キャスリーン鉄道 (Meadows and Lake Kathleen Railroad)
ライル模型鉄道 (Rhyl Miniature Railway)
ラッドヤード・レイク蒸気鉄道 (Rudyard Lake Steam Railway)
ラッパ・バレー蒸気[鉄道]
リバーサイド・アンド・グレート・ノーザン鉄道 (Riverside and Great Northern Railway)
レーブングラス・アンド・エスクデール鉄道 (Ravenglass and Eskdale Railway)
ロイヤル・アーセナル18インチ軌間鉄道 (Royal Arsenal 18 inch Railway)
ロムニー・ハイス&ディムチャーチ鉄道 (Romney, Hythe & Dymchurch Railway)

これらの鉄道は、蒸気機関車からディーゼル機関車まで、さまざまな種類の車両が使用されており、それぞれの歴史や特色を持っています。

関連事項

狭軌: 最小軌間鉄道も含む、標準軌よりも軌間が狭い鉄道全般を指します。
軽便鉄道: 主に簡易な構造で建設・運営される鉄道のことで、最小軌間鉄道も含まれることがあります。
保存鉄道: かつて使われていた鉄道車両や施設を保存し、運行を行う鉄道のことです。
ライブスチーム: 蒸気機関車を動態保存し、実際に運行させているものを指します。
* 修善寺虹の郷: 施設内には、381mm軌間の遊覧鉄道が運行されており、最小軌間鉄道の一例として挙げられます。

最小軌間鉄道は、その小さな姿からは想像もできないほどの歴史と多様性を持っています。観光や産業遺産として、今後もその価値が継承されていくことが期待されます。

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