月亭太遊

月亭太遊：漫才から落語へ、マルチな才能を開花させたエンターテイナー

1984年4月21日、大分県竹田市に生まれた月亭太遊は、現在活躍する人気落語家であり、お笑い芸人である。本名は後藤征平。O型という血液型からも、彼の明るく奔放なキャラクターが想像できるだろう。

大分県立緒方工業高等学校卒業後、彼は吉本総合芸能学院（NSC）大阪校の26期生として漫才の世界へ足を踏み入れる。2004年5月から2010年7月まで、相方山下吉宗との漫才コンビ『はだか電球』として活動。結成間もない2004年のM-1グランプリ予選中に吉本興業に所属が決まるという、華々しいデビューを飾る。

『はだか電球』は、M-1グランプリで準決勝進出を果たすなど、高い実力を見せつけた。続く2005年の第26回ABCお笑い新人グランプリでは新人賞を受賞。順風満帆に見えたコンビ活動だったが、相方・山下の学業専念により、1年間の活動休止を余儀なくされる。この間、彼はピン芸人として『後藤レクイエム』を名乗り、活動を継続した。

活動休止期間中も、彼は芸の道を諦めなかった。2005年のM-1グランプリには、藤原F鬼夫・メキシコの風とともにユニット『ぽちょぽちょ』として出場。さらに、バイク川崎バイクと期間限定ユニット『繭』を結成するなど、精力的に活動。2006年のR-1グランプリでは、『後藤レクイエム』名義で準決勝に進出するなど、着実に実力を高めていた。

2006年3月、『はだか電球』活動を再開。2007年のM-1グランプリでは再び準決勝に進出するも、2010年7月、コンビは解散。そして、彼は新たな芸の道を模索し始める。

新たな道として、彼は落語家への転身を志す。2010年12月12日、月亭遊方に入門。師匠から『太遊』という芸名を授かり、新たなキャリアをスタートさせた。3代目桂米朝にとっては、月亭天使に次ぐ2人目の玄孫弟子という、由緒正しい家系に属することとなった。

落語家としての活動と並行して、彼は映画やCMなど、多方面で活躍の場を広げていく。2012年、映画『治療休暇』で映画初主演。肥満体型の憎たらしい男を演じきり、存在感を示した。出演のきっかけは、映画スタッフが動画サイトで『はだか電球』時代の彼のネタを偶然見かけたことによるという、奇縁と言えるだろう。同年、第22回彦八まつりの「落語家による大相撲」では優勝を果たすなど、その活動は多岐に渡っている。

2013年には2代目京都府住みます芸人に就任し、京都を拠点に活動。2017年4月には住みます芸人を退任し、大分県別府市に移住。地元への愛着も強いことが伺える。

太遊は、落語家としての活動以外にも、独自のイベントを多数主催している。代表的なイベントとしては『噺セレブ』『落語de銭湯数珠つなぎ ちゃいちゃい寄席』『太遊のまつり』などがある。これらイベントを通して、彼は落語をより身近に感じさせ、新たなファン層を開拓している。

近年では、2024年8月31日には東京・鈴本演芸場で行われた『春風亭一之輔独演会』にゲスト出演を果たすなど、活躍の幅はますます広がりを見せている。

数々の賞レースで好成績を残し、映画やCM出演、そして独自のイベント主催と、月亭太遊は、漫才師から落語家へと転身しながらも、その才能と努力でエンターテイメント界で確固たる地位を築いている。その活躍は、これからもますます目が離せないだろう。

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