月亭遊方

月亭遊方：ロックンローラー落語家

月亭遊方（つきてい ゆうほう）は、1964年9月4日生まれ、兵庫県西宮市出身の落語家です。本名は斉野雄介。吉本興業に所属し、出囃子は「岩見」、定紋は月紋（または結三柏）を使用しています。

自他ともに認める「高座のロックン・ローラー」である遊方は、学生時代から熱心な音楽ファンでした。ABCラジオ『ABCヤングリクエスト』を聴きながら育ち、笑福亭仁鶴や月亭八方の芸に触れたことが、落語家への道を志すきっかけとなりました。明治大学商学部に入学後、落語研究会に所属。2年生の時にはプロの落語家になることを決意し、大学を退学して月亭八方に弟子入りしました。

八方宅の2階に間借りしながら、1階のお好み焼き屋でアルバイト生活を送る中、1986年2月、正式に月亭八方に入門。入門時期が7代目月亭文都より僅かに早かったため、兄弟子という関係になりました。 T-遊方という芸名を使っていた時期もあります。T-遊方時代には、ABCテレビ『わいわいサタデー』のコーナー「帰りたい帰れない」に出演し、3ヶ月間のホームステイを経験しています。

遊方の落語は「カジュアルラクゴ」と銘打たれた自作落語が中心です。『戦え!サンダーマン』や『虚礼困惑騒動』『たとえばこんな誕生日』など、これまでに50作以上の作品を発表しています。日常生活の些細な出来事や、誰もが経験するであろう些細な違和感や困惑を題材に、ユーモラスで微笑ましいドタバタ劇を展開する手腕には定評があります。

古典落語の改作にも積極的に取り組み、「カジュアル古典」と称した新たなスタイルを確立しつつあります。また、彦八まつりの企画「西川梅十三踊り教室おさらい会」では、ローリング・ストーンズなどのロックナンバーにのせてかっぽれを披露するなど、そのロック好きを存分に発揮しています。

2021年には、「天満天神繁昌亭15周年記念特別公演」の実行委員長を務め、桂三幸、笑福亭喬介、桂華紋ら実行委員を「スコーピオンズ」と名付けるなど、そのロック・マニアぶりを発揮しながら、6週間にわたる公演を成功に導きました。公演は「繁昌亭SONIC 2021」と題され、音楽を前面に押し出した内容となりました。

さらに、バンド「ヒロポンズ・ハイ」でギタリストとしても活動しています。2008年には繁昌亭大賞創作賞を受賞。2010年4月には結婚しています。

弟子には月亭太遊、月亭遊真、月亭希遊がおり、元弟子には月亭禄遊がいます（廃業）。

メディア出演としては、MBSテレビ『痛快!明石家電視台』、BS朝日『御法度落語 おなじはなし寄席!』などに出演。ラジオや配信番組にも多数出演しています。

月亭遊方は、落語という伝統芸能にロックの精神を融合させ、独自のスタイルを確立した、唯一無二の落語家と言えるでしょう。その活動は、落語界に新たな可能性を切り開く、重要な役割を果たしています。

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