月山寺

月山寺：歴史と文化が息づく茨城の古刹

茨城県桜川市西小塙に位置する月山寺は、天台宗に属する由緒ある寺院です。曜光山を山号とし、室町時代には13世光栄によって法相宗から天台宗に改宗された歴史を持ちます。江戸時代には、関東八檀林の一つとして栄え、天台宗の学問の中心地として重要な役割を果たしました。現在も、七福神の一つである布袋尊が祀られており、多くの参拝客が訪れます。

創建から現代まで：幾多の変遷

寺伝によれば、月山寺の起源は796年（延暦15年）にまで遡ります。弘法大師空海の弟子である徳一によって、現在の桜川市上城（かみしろ）に創建されたと伝えられています。その後、1127年（大治2年）には、橋本城主・谷中孫八郎将国が菩提寺として月山寺を仰ぎました。

1430年（永享2年）、13世光栄の代に天台宗に改宗。江戸時代に入ると、1615年（元和元年）には徳川秀忠から朱印地60石を賜り、1616年（元和2年）には恵賢の時代に現在の地に移転しました。1626年（寛永3年）には火災に見舞われ焼失しましたが、笠間藩主浅野長重の援助により再建されました。その後も、1705年（宝永2年）には黄檗宗の了翁道覚から経蔵と鉄眼版一切経が寄進されるなど、多くの支援を受けながら発展を続けました。1998年（平成10年）には、栃木県二宮町大根田にあった長栄寺（廃寺）から観音堂を移築するなど、歴史と伝統を受け継ぎながら現在に至っています。

貴重な文化財：歴史の証

月山寺は、数多くの貴重な文化財を所蔵しています。国指定重要文化財である網代笈（あじろおい）をはじめ、茨城県指定有形文化財として、月山寺書院、刺繍種子阿弥陀三尊図、絹本著色両界曼荼羅図、木造薬師如来坐像、木造菩薩立像・天部立像、五鈷鈴、桐唐草菊花文蒔絵角盥、呉須皿、春日厨子、紺紙金泥法華経など、数多くの仏像や仏画、工芸品などが大切に保管されています。さらに、桜川市指定有形文化財として月山寺本堂、境内山王社本殿、中門なども指定されています。これらの文化財は、月山寺の歴史と文化を物語る貴重な遺産であり、日本の歴史・文化遺産保護の観点からも重要な存在です。

アクセス

月山寺へのアクセスは、東日本旅客鉄道水戸線羽黒駅から徒歩約10分と便利です。歴史と文化に触れたい方は、ぜひ一度訪れてみてください。寺院の静寂の中で、悠久の時を感じることができるでしょう。

参考文献

『日本歴史地名大系 茨城県の地名』、平凡社、1982
『茨城県大百科事典』、茨城新聞社編・刊行、1981

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