月桂寺 (新宿区)

月桂寺は、東京都新宿区河田町に所在する臨済宗円覚寺派の寺院です。

歴史

月桂寺の起源は、寛永9年（1632年）に市ヶ谷に建てられた関叔碩三座原の庵にあります。その後、この庵は現在地に移転し、円桂山平安寺と称しました。この寺は、小弓公方家出身で豊臣秀吉や徳川家康に仕えた月桂院の厚い信仰を受けました。月桂院は寺に100石の朱印地を寄進し、明暦元年（1655年）に彼女が亡くなった際には、この寺で葬儀が執り行われました。この時、寺号は正覚山月桂寺と改められたと伝えられています。

月桂寺には、月桂院が奉納したとされる「厄除御安産諸願成就の宝玉」（通称：安産宝珠）が寺宝として伝えられており、それゆえに安産祈願の寺としても広く知られています。江戸時代には、臨済宗の関東十刹の一つに数えられるほどの格式高い寺院でした。

また、月桂寺は江戸幕府5代将軍徳川綱吉の側用人であった柳沢吉保からも篤い帰依を受けました。境内には、吉保の嫡男である柳沢吉里や、吉保の側室である正親町町子の墓があります。なお、柳沢吉保自身の墓所は、生前に彼が創建した甲斐国（現在の山梨県甲府市）の永慶寺にありましたが、柳沢氏が転封となった後、吉保の墓所は山梨県甲州市の恵林寺に移されました。その他、江戸時代の医師である渋江氏胤や、明治時代に朝日新聞の主筆を務めた池辺三山の墓もこの寺にあります。

寺の庭には、切支丹灯籠と呼ばれる織部灯籠が設置されており、新宿区の指定有形文化財となっています。

主な施設

本堂
織部灯籠（切支丹灯籠）

アクセス

都営大江戸線若松河田駅または牛込柳町駅から徒歩約7分です。

脚注

新宿歴史博物館編『ガイドブック新宿区の文化財　史跡　東部篇　改定版』1997年
斎藤長秋 編「巻之四 天璣之部 正覚山月桂寺」『江戸名所図会』 2巻、有朋堂書店〈有朋堂文庫〉、1927年、461-464頁。NDLJP:1174144/235。

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