月潟駅

月潟駅：時を越えて蘇る鉄道の記憶

かつて新潟県西蒲原郡月潟村（現新潟市南区月潟）に存在した新潟交通電車線の月潟駅。1999年の廃線後、駅周辺は旧月潟駅周辺公園として生まれ変わり、鉄道ファンや地域住民にとって大切な場所となっています。

歴史

1933年、新潟電鉄線の一部として白根駅から燕駅までの開通とともに開業した月潟駅。駅の開設は、小さな村に新たな息吹をもたらし、駅を中心に市街地が形成されていきました。

しかし、1960年代後半から新潟交通電車線は赤字運営に苦しみ、1993年には燕側の区間が廃止。月潟駅は終着駅となりました。道路事情によりバス輸送への転換が困難だったことが、月潟以北の区間が存続した理由でした。

その後も経営状況は改善せず、1999年4月4日、ついに東関屋駅 - 月潟駅間の全線が廃止。長年親しまれた電車線は姿を消し、バスによる代替輸送が開始されました。

保存への想い

廃止後、地元住民や鉄道ファンから「電車線の貴重な資料を後世に残したい」という声が上がり、車両や施設の保存を求める運動が起こりました。その結果、モハ11・モワ51・キ116の3両が駅構内で静態保存されることになったのです。

廃止翌日の4月5日には、保存車両が東関屋駅から月潟駅まで自走。当時のホームに留置され、往時の姿を偲ばせる光景が再現されました。この保存活動には、交通博物館の学芸員であった岸由一郎氏も尽力しました。

公園としての再生

旧月潟駅周辺は、その後公園として整備されました。駅舎はほぼ廃止当時のまま保存され、ホーム側の線路にはATSの地上子も残されています。旧2番線ホームは一部撤去されたものの、2003年には旧1番線側に復元され、ベンチが設置されました。貨物ホーム跡は駐車場として整備され、イベント時にはトロッコが走行することもあります。

駅舎横には角兵衛地蔵尊が祀られ、境内には新潟電鉄の設立者である奥山亀蔵の碑が建立されています。2003年には、地蔵尊の裏手に「越後獅子の唄」の歌碑が建立され、ボタンを押すと美空ひばりの歌声が流れます。

公園施設は新潟市南区建設課が管理し、鉄道施設は「かぼちゃ電車保存会」が管理しています。冬には冬囲いを行うなど、保存状態は良好で、年に数回、車内や駅舎内が公開されるイベントも開催されています。

美しい日本の歩きたくなるみち500選

中ノ口川左岸の堤防上に位置し、自然に囲まれた月潟駅跡は、地域の歴史を物語る展示物も多く、2004年には「美しい日本の歩きたくなるみち500選」に選ばれました。

ロケ地としての活用

月潟駅跡は、Negiccoのシングル「ねぇバーディア」のジャケット写真や、NGT48の「ロケ生写真」に使用されたほか、内田康夫の小説「漂泊の楽人」のドラマ化ではロケ地としても活用されています。

現在の駅周辺

月潟駅周辺は、現在も月潟地区の中心街として機能しています。駅跡地には月潟バス停が設けられ、新潟市中心部方面へのバスが発着しています。周辺には、月潟図書館、月潟中学校、月潟小学校、月潟出張所、月潟郵便局、第四銀行月潟支店などがあります。

アクセス

新潟駅からはBRTとバスを乗り継いで、燕駅からはバスを利用してアクセスできます。イベント時には駐車場が制限されることがあるため、公共交通機関の利用が推奨されています。

月潟駅は、鉄道の歴史を伝える貴重な遺産であるとともに、地域住民の憩いの場として、これからも大切にされていくことでしょう。

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