月種

月種（げっしゅ）について

月種、または月種族（サンスクリット: チャンドラ・ヴァンシャ）は、インドの古代王族に属する系統の一つです。彼らの起源は伝説的な王、プラティシュターナ王プルーラヴァスにさかのぼります。この系統は、古代インドの王家が自然現象に基づいて「日種」や「月種」に大別される伝統において位置づけられています。

伝説の始まり

プルーラヴァスは、月神ソーマとターラーの子であるブダの子として知られています。また、イラーという母を持ち、イラーは日種の祖の子孫であったため、プルーラヴァスは月神の直接の孫であるといえるのです。このため、プルーラヴァスを始祖とする王家は「月種」と称されます。ただし、一部の文献ではイラーがプルーラヴァスの父母として言及されていることもあります。

プルーラヴァスは、現在のインドのウッタル・プラデーシュ州にあたる地域にプラティシュターナという都を築きました。彼の母イラーは、日種の創始者であるイクシュヴァークの叔母でもあったことから、月種はイラーに由来してアイラ族とも呼ばれることがあります。

プルーラヴァスの子孫

プルーラヴァスの子供、アーユは父の後を継いで王位に就きました。その弟アマーヴァスはカーニヤクブジャに新たに王朝を設立しました。アーユにはナフシャ、クシャトラヴリッダ、ランバ、ラジ、アネーナスという5人の息子がおり、最終的にはナフシャが父の後を継ぎました。ナフシャの長男、ヤティは出家し、次男のヤヤーティが王位を継承します。ヤヤーティには５人の子供があり、各々がそれぞれの王国を受け継ぎました。

この子供たちから派生した家系は、ヤドゥ族（ヤーダヴァ）やプール族（パウラヴァ）、ドルヒユ族、アヌ族（アーナヴァ）など多岐にわたります。特にヤドゥ族の末裔であるクリシュナは重要な存在であり、後にハイハヤ族がこの系統から枝分かれしました。

バラタ王とその子孫

有名なバラタ王はプール族に属し、ドゥフシャンタ王とシャクンタラーの子供です。そのため、バラタ族は彼の子孫であるとされています。『マハーバーラタ』に登場するカウラヴァ家とパーンダヴァ家も、バラタ族の系譜に連なるクル族に属します。また、この系譜から派生した南北のパンチャーラ族もバラタ族の一部とされています。

まとめ

月種は、神話や伝承に豊かに彩られたインドの王族の系統であり、多くの王朝や民族の起源に関与しています。彼らの歴史は、神々とのつながりを基盤に築かれ、今なお古代インドの文化や伝説に深く根付いています。

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