月蝕歌劇団

月蝕歌劇団の紹介

月蝕歌劇団（げっしょくかげきだん）は、1985年に創立された日本の劇団です。創立者である高取英が、当初は劇作家の寺山修司の支援を受けながら劇団を設立しました。劇団名は、「儚いロマンティシズム」を意味する「月蝕」という言葉を込めており、女性キャストを中心に、独自のスタイルでの上演を続けています。その特色から「暗黒の宝塚」とも称されています。

創立と初公演

高取英は、寺山修司の下で活動する中で、劇団の方向性について悩みましたが、最終的に宝塚歌劇団に影響を受けたスタイルを選びました。1986年には旗揚げ公演『女神ワルキューレ海底行』を行い、この作品は写真週刊誌『フォーカス』に掲載され話題を呼びました。また、彼の代表作である『聖ミカエラ学園漂流記』は、1982年に初演され、その後もアニメや小説、漫画など多様なメディアに展開されました。

多彩な作品とコラボレーション

月蝕歌劇団では、高取英自身の作品だけでなく、寺山修司や澁澤龍彦、及び様々な幻想文学作品を演劇化しています。また、竹宮惠子や梶原一騎の漫画作品も上演されるなど、多様なジャンルを構想に取り入れています。音楽面では、演劇実験室◎万有引力のJ・A・シーザーによる楽曲や、主に吉田光彦が担当するチラシやポスターが使用されています。さらに、藤原カムイや安西水丸なども関与しています。

公演のスタイル

本公演は、ザムザ阿佐谷や大塚萬スタジオなどの劇場で行われるほか、小劇場や喫茶店、バーなどでの実験室公演も実施されています。特に実験室公演では、作品のライブパフォーマンスが付随して行われることが多く、繰り返し上演される『白夜月蝕の少女航海紀』などが観客に親しまれています。

国内外の活動

月蝕歌劇団は、2006年に大阪に進出し、2007年には本多劇場にも出演しました。国際的な活動にも取り組んでおり、1996年にはロシアで夢野久作の『ドグラ・マグラ−海外版−』を上演し、またスロベニアの国際演劇祭にも招待されています。特に2013年と2009年にはそれぞれエヴァルド・フリザール作の演出された作品を上演し、好評を得ました。

記念公演と代表者の変更

2015年には、WOWOWによるドキュメンタリー『暗黒のアイドル、寺山修司の彼方へ〜「月蝕歌劇団」30年の挑戦〜』が放映され、劇団の活動が広く知られることとなりました。その後、2017年11月には本公演100本記念として『ねじ式・紅い花』が上演され、つげ義春の作品を舞台に展開した幻惑の世界が評価されました。

2018年に高取英が急逝すると、彼の長女である白永歩美が二代目として代表に就任しました。2021年には第114回本公演「白夜月蝕の少女航海紀─劇場版─」が行われ、活動を一時休止して充電期間に入りました。

主な劇団員と作品

月蝕歌劇団は、数多くの印象的な作品を上演してきました。代表的な作・演出には、「怪盗ルパン・満州奇岩城篇-川島芳子と少年探偵団-」や「邪宗門」などがあり、革新的な試みで演劇の枠を広げています。また、客演の多い劇団員たちも、各界で活躍しています。月蝕歌劇団の演劇は、常に観客の心を掴む新たな挑戦を続けており、今後の更なる成長が期待されます。

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