有峰林道

有峰林道

有峰林道は、富山県富山市と岐阜県飛騨市にまたがる有料の山岳道路網です。単一の道路ではなく、複数の林道によって構成される総称として知られています。この林道は、有峰湖周辺の自然や、北アルプス立山連峰へのアクセス路として重要な役割を果たしています。標高が高い地域を通るため、冬季は積雪により全ての区間で通行が閉鎖されます。

構成する主な林道

有峰林道は、大きく分けて富山県が管理する「富山県林道有峰線」と「富山県林道真川線」から構成されています。それぞれの主要な路線は以下の通りです。

富山県林道有峰線

小見線（おみせん）: 有峰林道の主要な入口の一つであり、富山市亀谷から有峰猪根（ありみねいのね）を結んでいます。かつて山腹崩壊により通行止めとなった時期がありましたが、復旧し通行が可能となりました。長年の整備を経て、2021年10月には全線が2車線化されています。
湖周線（こしゅうせん）: 有峰猪根を起点・終点とし、有峰湖を囲むように延びる路線です。しかし、有峰湖の東岸部分（折立線から東谷線に至る区間）は車両の通行が禁止されており、有峰湖を車で一周することはできません。また、大部分が未舗装区間となっています。
湖周線の東岸部分については、富山県が2020年度からの拡幅・舗装整備を計画していましたが、2019年10月に絶滅危惧Ⅰ類であるハクバサンショウウオの生息が確認されたため、工事は中断されました。その後の検討の結果、2022年3月31日には、当面の間、この区間の拡幅・舗装工事は行わない方針が示されています。
大多和線（おおたわせん）: 湖周線から分岐し、岐阜県境の大多和峠（おおたわせんとうげ）に至る路線です。ただし、岐阜県側は長期にわたり通行止めとなっているため、この林道を利用して岐阜県側へ通り抜けることはできません。
小口川線（おぐちがわせん）: 富山市水須（みずす）から不動谷（ふどうだに）へ向かう路線です。
東谷線（ひがしたにせん）: 湖周線から岐阜県境に位置する飛越トンネル（ひえつトンネル）へ至る路線です。飛越トンネルを越えると、岐阜県側の高山大山林道（たかやまおおやまりんどう）に接続しています。

富山県林道真川線

折立線（おりたてせん）: 湖周線から分岐し、新折立トンネルを経て折立（おりたて）地区に至る路線です。折立地区は、北アルプス立山連峰への主要な登山口の一つとして知られ、バス停や駐車場、キャンプ場、山小屋などの施設が整備されています。この路線も1999年6月1日までに2車線化が完了しています。
真川線（まかわせん）: 新折立トンネルから湯川谷（ゆのかわだに）へ延びる路線です。

歴史

有峰林道の整備は、森林資源の開発や電源開発といった目的から始まりました。

1951年には、当時の大山町と北陸電力により、森林開発と有峰ダム建設のための資材運搬路として、現在の小見線の工事が着工されました。
1962年には、小見線と湖周線が開通しました。これらの初期路線の工事費は約5億円でした。
その後、富山県が観光開発やさらなる森林開発を目的として、1964年に真川線の工事に着手しました。
1967年には真川線が開通。工事費は約1億6,800万円でした。
1969年には小口川線も開通し、工事費は約3億9,000万円を要しました。
主要路線の利便性向上のため、1975年には小見線の2車線化工事が始まりました。
折立線の2車線化工事は1999年6月1日に完了しました。
小見線の2車線化工事は、長年の歳月を経て2021年10月6日に完了し、同年10月17日には完成を記念する式典が開催されました。

通行料金と通行時間

有峰林道は有料道路であり、通行する車両の種類によって料金が定められています（料金は変更される場合があります）。2022年4月時点では、大型車が4,900円、小型車が2,000円、自動二輪車等は500円となっています。

通行可能な時間帯は朝6時から夜8時（20時）までとなっており、夜間（20時から翌朝6時まで）は全ての車両の通行が禁止されます。加えて、前述の通り、冬季は積雪のため全線が閉鎖されます。

特記事項

有峰湖の東岸部分は車両通行不可であり、湖を車で一周することはできません。
大多和峠では、岐阜県側が長期通行止めのため、岐阜県へ通り抜けることはできません。
湖周線東岸の拡幅・舗装整備計画は、絶滅危惧種ハクバサンショウウオの生息確認により中断され、当面は行われない方針です。
折立地区は北アルプス立山連峰への主要な登山口であり、多くの登山者が利用します。

関連項目

日本の一般有料道路一覧
日本の林道一覧
有峰ダム

外部リンク

有峰林道 利用案内 - ありみネット（富山県農林水産部森林政策課）

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