有村次左衛門

有村 次左衛門（ありむら じざえもん）

有村次左衛門は、幕末の日本において重要な役割を果たした薩摩藩士であり、尊王攘夷派の志士でもあります。生まれたのは天保9年（1839年）で、薩摩藩士の有村兼善の四男として誕生しました。彼の母親は森元高見の娘で、名前は連寿尼であり、兄に海江田信義となる有村俊斎や、有村雄助がいます。

次左衛門は、その若さからしても特異な経歴を持った人物であり、剣術の技量も高かったとされています。彼は薬丸兼義から薬丸自顕流を学び、さらに江戸で北辰一刀流に精通しました。安政5年（1858年）には、兄と共に江戸で尊攘活動を展開しましたが、次左衛門はその後脱藩し、他の志士たちと連携を深めていきます。

彼の運命が大きく変わるのは、安政6年（1859年）に発生した安政の大獄でした。この事件に対して次左衛門は強い不満を抱き、実行者である大老井伊直弼の暗殺を企てることにします。1860年3月3日、彼は井伊直弼が登城する際に、桜田門外でその行列を襲撃しました。この襲撃は「桜田門外の変」として歴史に名を刻むことになります。

次左衛門は、行列の中心に位置していた井伊直弼の駕籠を襲撃し、彼を路上に引きずり出して殺害することに成功しました。しかし、周囲の騒乱の中で彦根藩士の小河原に重傷を負わされてしまいます。同行の広岡子之次郎が小河原を斬り伏せるも、次左衛門は致命的な負傷を負ってしまい、逃げることができなくなります。

彼は、まず切腹しようとしましたが、手元の皮の稽古胴を外せず、携帯していた短刀を使おうとしましたが、上手くいかず、応援を求めましたが、誰も助けてくれませんでした。その後、水を飲むことで早死にできるという教えに従って雪を口にしたところを救出され、遠藤邸に運び込まれましたが、惜しくもその間に息を引き取ってしまいました。享年はわずか22歳でした。

彼の死後、明治35年（1902年）には正五位が追贈されるなど、歴史に名を刻んだ次左衛門ですが、親族としては弟の有村雄助も幕府に捕らえられて切腹するなど、運命は厳しいものでした。次左衛門の養子である有村信清の子孫が現在も存在する情報もあります。

次左衛門は、さまざまな作品に登場します。1927年の映画『建国史 尊王攘夷』や、1963年のNHK大河ドラマ『花の生涯』、1969年に公開された映画『日本[[暗殺秘録]]』など、数々のメディアで彼の勇姿が描かれてきました。また、最近では2018年の大河ドラマ『西郷どん』にも登場しています。彼の生涯は、幕末の動乱を生き抜いた志士の一人として、今なお多くの人々に感動を与えています。

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