有馬掃部

有馬掃部（ありま かもん）は、戦国時代から江戸時代初期にかけて生きた武士です。彼は日野江城主であった有馬晴信の異母弟であり、キリシタン（キリスト教徒）でもありました。兄である晴信、そしてその子である直純に、家老として仕え、有馬家を支えました。

有馬掃部は、ドン・アンドレスという洗礼名を持っていました。しかし、甥である有馬直純が棄教した際には、彼自身もすでに棄教していました。その後は、有馬氏の家臣たち、特に主要な信者たちの改宗に力を尽くしました。慶長18年（1613年）には、奉行として、高橋主水や林田助右衛門など、棄教を拒否した主要なキリシタン家臣の処刑にも関与しました。この事実は、彼の信仰の変化と、それに伴う行動の変化を示しています。

有馬氏が移封される際には、掃部もこれに同行しました。そして、その2年後の元和元年（1615年）に亡くなったと伝えられています。興味深いことに、死ぬ直前には、かつて棄教したことを後悔していたという記録が残っています（『続日本殉教録』より）。この後悔の念は、彼の信仰と現実の間で揺れ動いた心情を物語っているのかもしれません。

有馬掃部の生涯は、戦国時代から江戸時代初期という激動の時代を背景に、キリスト教信仰、主君への忠誠、そして自身の内面の葛藤が複雑に絡み合ったものでした。彼の行動や心情は、当時の社会情勢や人々の信仰に対する考え方を理解する上で、貴重な手がかりとなります。

参考文献

結城了悟『キリシタンになった大名』（聖母の騎士社、2005年）
外山幹夫『肥前有馬一族』（新人物往来社、1997年）

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