外山幹夫

外山幹夫（とやま みきお）

概要

外山幹夫は、1932年10月16日に長崎市で生まれ、2013年4月26日に逝去した日本の歴史学者です。特に中世史、特に九州地方の歴史を専門とし、大名領国の形成過程や貿易史、長崎の歴史に関する研究で著名です。教育者としても長きにわたり、佐世保工業高等専門学校、長崎大学、長崎県立女子短期大学、長崎シーボルト大学で教鞭を執り、後進の育成にも力を注ぎました。

生涯

長崎県立大村高等学校を卒業後、広島大学大学院文学研究科国史学を修了しました。1978年には、「大名領国形成過程の研究 大友氏の場合」で文学博士号を取得しています。その後、佐世保工業高等専門学校で助教授を務め、長崎大学では助教授、教授として長年教鞭をとりました。1998年に長崎大学を定年退官し、名誉教授の称号を得ました。その後も、長崎県立女子短期大学、長崎県立シーボルト大学で教鞭を執りました。また、長崎県文化財保護審議会長や長崎市史編纂委員会委員長など、公的な職務も数多く務めました。2012年には、長年の教育・研究への貢献が認められ、瑞宝中綬章を受章しています。

研究内容

外山幹夫の研究は、中世九州の社会構造、特に大名領国の形成過程に焦点を当てています。大友氏、大村氏、松浦氏など、九州の有力大名の研究を通じて、当時の政治、経済、社会の動態を解明しようと試みました。また、長崎の歴史にも深く関心を抱き、江戸幕府の長崎奉行や、長崎の貿易史に関する研究も行いました。これらの研究を通じて、外山は長崎が日本の歴史において果たした役割を明らかにし、地域史研究の重要性を示しました。

著作

外山幹夫は、数多くの著作を執筆・編集しており、その内容は多岐にわたります。主な著書としては、『大友宗麟』、『中世の九州』、『大村純忠』、『大名領国形成過程の研究 豊後大友氏の場合』などがあります。これらの著作は、学術的な価値が高いだけでなく、一般の読者にとっても読みやすく、中世九州の歴史を理解するための貴重な資料となっています。

• - 『大友宗麟』吉川弘文館 人物叢書 1975、オンデマンド版2020
• - 『中世の九州』教育社歴史新書 1979
• - 『大村純忠』静山社 1982／吉川弘文館 読みなおす日本史 2022
• - 『大名領国形成過程の研究 豊後大友氏の場合』雄山閣出版 1983
• - 『長崎県の教育史』思文閣出版 1984 シリーズ都道府県教育史
• - 『中世九州社会史の研究』吉川弘文館 1986
• - 『松浦氏と平戸貿易』国書刊行会 1987
• - 『長崎奉行 江戸幕府の耳と目』中公新書 1988
• - 『長崎 歴史の旅』朝日選書 1990
• - 『もう一つの維新史 長崎・大村藩の場合』新潮選書 1993
• - 『高来の風 諫早・北高の歴史と文化』芸文堂 肥前歴史叢書 1995
• - 『肥前 有馬一族』新人物往来社 1997
• - 『医療福祉の祖 長与専斎』思文閣出版 2002
• - 『肥前 松浦一族』新人物往来社 2008
• - 『中世長崎の基礎的研究』思文閣出版 2011
• - 『長崎史の実像 外山幹夫遺稿集』長崎文献社 2013

共編著

• - 『長崎・佐賀 日本城郭大系 第17巻』高島忠平共編 新人物往来社 1980
• - 『わが町の歴史 長崎』加藤章共編著 文一総合出版 1984 わが町の歴史シリーズ
• - 『史料で読む 長崎県の歴史』編著 清文堂出版 1993
• - 『図説 長崎県の歴史』責任編集「図説日本の歴史 42」河出書房新社 1996

論文

外山幹夫は多数の論文も発表しており、その研究成果は学会でも高く評価されています。

結論

外山幹夫は、中世九州の歴史研究において、その名を深く刻んだ偉大な学者でした。彼の研究は、今日の歴史学研究においても重要な基盤となっており、地域史研究の発展に大きく貢献しました。また、教育者としても多くの学生を育成し、その業績は後世に語り継がれていくでしょう。

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