有馬豊祐

有馬豊祐の生涯と松崎藩

有馬豊祐（ありま とよすけ）は、江戸時代前期に松崎藩を支配した大名である。彼は筑後国久留米藩の分家として知られ、波乱に満ちた短い藩主時代を過ごした。ここでは、豊祐の生い立ちや松崎藩の歴史、彼の施策について詳しく見ていく。

生い立ち

豊祐は、1646年に江戸で生まれた。父は但馬出石藩主・小出吉重であり、生母は久留米藩初代藩主の娘である。豊祐は伯父である久留米藩第2代藩主・有馬忠頼の養子となり、藩の江戸屋敷に居住したが、忠頼の実子が生まれた後は厳しい立場に置かれることとなった。丁度、忠頼の急死に伴い、彼の実子が藩主になると、豊祐は自身の知行が減少する恐れがあった。そのため、将軍・徳川家綱に拝謁し、藩内での地位の確保を図る。

松崎藩の創設

豊祐は寛文8年（1668年）に1万石の所領を受け、筑後国御原郡に松崎藩を立藩することになった。この時、彼は従五位下伊予守に叙任され、旗揚げの功績を果たした。豊祐はまず、初めての拠点となる館を横隈に構えるが、後に松崎を治所と定め、居館の建設を始めた。完成までには4年を要し、松崎館は大規模な構造を持ち、地域住民からは松崎城と呼ばれて親しまれた。

また、彼は藩の交通路整備にも力を入れていた。宝満川の左岸に新たな松崎街道を開設し、さらには松崎宿を整備することで、参勤交代路としての重要性を向上させた。こうした施策は、藩政の確立に繋がり、地域の発展を促進するものであった。

改易と晩年

しかし、彼の藩主としての地位は長続きしなかった。貞享元年（1684年）、姉婿である土方雄隆が自藩の内紛の結果、改易処分を受けると、豊祐の松崎藩も同様の運命をたどった。豊祐は、家内部で仲裁に関与しなかったことから責任を問われ、藩主の座を追われた。彼は子供の豊胤（後の小出英致）と共に久留米藩に預けられ、江戸から久留米に護送された。

その後、豊祐親子は久留米城内にて蟄居生活を余儀なくされ、元禄5年（1692年）には赦免されるものの、江戸には戻らず、久留米での余生を過ごした。豊祐は1700年に55歳でこの世を去り、彼の子供である豊胤は小出家の養子となり、再び旗本として名を残した。

松崎藩の遺産

豊祐の時代に築かれた松崎藩は、その後、幕府直轄領となり、はるかに大きな影響を与えたが、結局、その旧領は元禄10年（1697年）に久留米藩に戻された。彼の施策は松崎の発展に寄与したものの、その短い藩主期間中の出来事は、幕末の動乱の中での藩士たちの運命にも深く影響を与えた。豊祐の生涯は、江戸時代の複雑な政治情勢を反映する一つの事例であり、彼の足跡は今なお地域史の中で重要な位置を占めている。

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