服部譲二

服部譲二（はっとり じょうじ）

日本の著名なヴァイオリニストであり、指揮者としても活躍する音楽家。1969年1月21日、東京都に生まれる。

生い立ちと背景

服部譲二は、日本の時計産業における巨頭、「時計王」と称されたセイコー創業者、服部金太郎を曾祖父に持つ家系に生まれた。祖父、服部玄三はセイコーの第2代社長を務めた人物であり、父、服部禮次郎氏もまた、第5代セイコーホールディングス社長として経営を担い、その後長きにわたり会長職、晩年には名誉会長の地位にあった。このように、日本の経済界において重きをなす一族の出身である。

同時に、音楽的な素養も深く受け継いでいる。母はヴァイオリニストであり、桐朋学園大学教授も務めた服部豊子（旧姓植野氏）。母・豊子氏は、かつて諏訪根自子、巖本真理と共に「三大美人ヴァイオリニスト」と称されたことでも知られる高名な音楽家であった。

幼少期、服部譲二は5歳の時に母の手ほどきでヴァイオリンを始める。1977年、家族とともにオーストリアのウィーンへ生活の拠点を移す。この地で、世界的な名門オーケストラであるウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の楽員たちと深く交流を持つ機会に恵まれ、音楽的な環境の中で育まれた。ヴァイオリンをライナー・キュッヒル、ミシェル・シュヴァルベ、ウラディーミル・スピヴァコフといった名師に師事し、アメリカ合衆国のミネアポリス音楽大学でも研鑽を積んだ。

ヴァイオリニストとしてのキャリア

ヴァイオリニストとして、服部譲二は若くして国際的な舞台でその才能を開花させた。1989年には、ヴァイオリン界の巨匠ユーディ・メニューインが設立した第4回ユーディ・メニューイン国際コンクールで栄えある第1位を獲得し、その名を世界に知らしめた。その後も、1990年のスヘフェニンゲン国際音楽コンクールで第2位、1991年の第2回レオポルト・モーツァルト国際ヴァイオリン・コンクールでも第2位を受賞するなど、国際的なコンクールで優秀な成績を収め続けた。また、1992年には、国内において将来を嘱望される若手演奏家に贈られる第3回新日鉄音楽賞「フレッシュ・アーティスト」を受賞している。

ヴァイオリニストにとってかけがえのないパートナーとなる楽器については、過去には著名なストラディヴァリウスやグァルネリウスなど複数の希少な名器を手にしながら演奏活動を行い、現在は1733年製のジュゼッペ・グァルネリ・デル・ジェズ「ヘンメアレ」を使用している。この名器とともに、世界各地で演奏活動を展開している。

指揮者としての活動

ヴァイオリニストとしてのキャリアを積み重ねる傍ら、服部譲二は指揮活動にもその領域を広げた。2002年には、第1回マゼール・ヴィラー指揮者コンクールで「リンカーン・マゼール・フェローシップ賞」を受賞。この受賞を機に、ニューヨークのカーネギーホールという歴史ある舞台で指揮者としてのデビューを飾った。その後、指揮者としての活動も本格化させ、2007年秋にはドイツのエアフルト歌劇場の第1カペルマイスター（首席指揮者）に就任するなど、国際的な指揮者としても歩みを進めた。

近年の活動

現在、服部譲二はイギリスのロンドンに居を構え、活動の拠点としている。また、音楽教育にも深く関わり、権威ある英国王立音楽院の客員教授を務め、後進の指導にあたっている。ヴァイオリニスト、指揮者として、また教育者として、世界の音楽シーンにおいて多角的に活躍を続けている。

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