服部禮次郎

服部禮次郎：セイコーを世界へ、そして社会貢献

服部禮次郎（1921年1月11日 - 2013年1月22日）は、日本の財界において、特にセイコーホールディングスの発展に大きく貢献した人物です。服部時計店（後のセイコー）創業者の孫として生まれ、第二精工舎取締役を経て、セイコーホールディングスの第5代社長、そして会長、名誉会長を歴任しました。

セイコーの海外展開とブランド戦略

服部禮次郎は、セイコーにおいて主に営業畑を歩み、クオーツ腕時計の海外販売網を確立しました。スイスの時計メーカーがタイメックスの腕時計を世界的に展開したことを受け、1997年には社名から「服部」の名を外し、高級腕時計に焦点を当てるという大胆な戦略を打ち出しました。この決断は、セイコーがグローバルブランドとして確立される上で重要な転換点となりました。

多岐にわたる社会貢献

服部禮次郎は、経済界だけでなく、教育、文化、国際交流など、幅広い分野で活躍しました。慶應義塾連合三田会会長を26年もの長きにわたって務め、慶應義塾の学事運営に大きな影響力を持っていました。その他、日本国際問題研究所会長代行、日本経団連理事、津田塾大学理事長、交詢社副理事長、学校法人慶應義塾監事・評議員など、数多くの要職を歴任しました。

また、日本と台湾との間の経済・文化交流に尽力し、その功績が認められ、馬英九総統から大綬景星勳章を授与されました。これらの活動を通して、服部禮次郎は日本と世界を結ぶ架け橋としての役割を果たしました。

福澤諭吉研究と著作活動

服部禮次郎は、福澤諭吉の研究にも力を注ぎ、著書『慶應ものがたり : 福澤諭吉をめぐって』や『福澤諭吉と門下生たち』を執筆しました。また、『福澤諭吉著作集』や『福翁百話』の編纂も手がけ、福澤諭吉の思想を広く社会に伝えることに貢献しました。

その他の役職

その他にも、日本スウェーデン協会会長、アフリカ協会会長、テレビ東京番組審議会委員長、日本時計協会会長、公益財団法人日本台湾交流協会会長、公益財団法人中東調査会理事長、国際商業会議所（ICC・JAPAN会長）、東京商工会議所常議員、経済同友会幹事、東亜経済人会議日本委員会委員長、社団法人福澤諭吉協会理事長、社団法人日本陶磁協会理事長、社団法人東京青年会議所理事長、社団法人日本青年会議所会頭、日本広告主協会副会長、日本広告審査機構常任理事、日本ABC協会常任理事、日本ユニセフ協会常務理事など、多岐にわたる役職を歴任しました。

家族

祖父は服部時計店（後のセイコー）創業者の服部金太郎、父は第2代社長の服部玄三、兄は第4代社長の服部謙太郎。妻はヴァイオリニストの服部豊子、息子はヴァイオリニスト・指揮者の服部譲二。妻・悦子の伯母は御木本隆三の妻。弟・成三郎は三光起業の取締役でした。

晩年

2010年にセイコーホールディングスの名誉会長となり、2013年1月22日、心不全のため92歳で逝去されました。

栄典

黄綬褒章（1983年）
勲二等旭日重光章（1994年）
* 大綬景星勲章(台湾、中華民国、2011年)

服部禮次郎は、セイコーの発展に貢献しただけでなく、教育・文化の振興、国際交流の推進など、多岐にわたる分野で社会に貢献した人物として、その功績は永く記憶されるでしょう。

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