朔州郡

朔州郡（サクチュぐん）

朔州郡は、朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）の平安北道に位置する郡です。鴨緑江を挟んで中華人民共和国遼寧省と国境を接しており、水豊ダムがあることで知られています。

地理

朔州郡は鴨緑江沿いに位置し、対岸は中国遼寧省寛甸満族自治県です。水豊ダムの堤体は郡内の水豊労働者区にあります。水豊ダムは日本統治時代に建設され、朔州郡はダムのおかげで工業、漁業、交通の重要な拠点となりました。

隣接する行政区は以下の通りです。

東：昌城郡
南：大館郡、天摩郡
西：義州郡

行政区域は、1邑、6労働者区、18里から構成されています。

歴史

前近代

古代、鴨緑江沿岸一帯は高句麗の領域でした。高麗時代の1018年、寧朔県と呼ばれていたこの地が改称され、朔州という地名が登場します。朝鮮王朝時代初期には、亀州以北が朔州郡に編成され、1413年には朔州都護府に昇格しました。15世紀には郡に降格して朔川郡となった時期もありましたが、すぐに都護府に復し、王朝北辺の拠点として重要な地位を占めました。

近代

1895年、朝鮮王朝末期の行政区画再編により義州府朔州郡となり（二十三府制）、1896年に平安北道に属しました（十三道制）。

鴨緑江を堰き止める水豊ダムは1937年に着工し、1943年に完工しました。ダム建設のため、定州から鉄道平北線が建設され、1938年に水豊まで開通しています。ダム周辺の開発も進められ、1943年には下流の清城（当時は義州郡）から対岸の寛甸県（当時は満洲国）を結ぶ鴨緑江第二の鉄道橋（清城大橋）が建設されました。

水豊ダムの堤体下流側に位置する青水洞は義州郡広坪面の一部でしたが、1944年5月10日、青水洞および朔州郡九曲面新豊洞・永豊洞は、朔州郡に属する青水邑となりました。

第二次世界大戦後

1945年8月時点で平安北道朔州郡は、1邑（青水邑）、7面（朔州面・九曲面・南西面・外南面・水豊面・両山面・水東面）から構成されていました。

1952年12月、北朝鮮の行政区画再編により、従来の朔州郡南東部（南西面・外南面・両山面・水東面）を大館郡として分離し、青水面・朔州面・九曲面・水豊面からなる朔州郡が再編されました（1邑19里）。またこのとき、西隣の義州郡では、東部の広坪面一帯が分割され、清城郡として分割されています。1953年、青水労働者区などが清城郡に移管されました。

朝鮮戦争中は水豊ダムが攻撃目標となり、朝鮮と中国を結ぶ清城大橋は爆撃を受けて破壊されました（現在、中国側では「河口断橋」と呼ばれています）。

1974年、清城郡が廃止され、義州郡・朔州郡に分割編入されています。このとき、鴨緑江沿岸の工業地帯である清城邑（現・清城労働者区）や沙坪労働者区・南社労働者区などが朔州郡に編入されました。旧清城郡域は、現在の朔州郡域の西部を構成する地域です。

現在の朔州郡は、1邑（朔州）、10労働者区、18里から構成されています。

交通

平北線：豊年駅 - 西部駅 - 板幕駅 - 富豊駅 - 青水駅
鴨緑江線：富豊駅 - 鴨緑江駅
水豊線：富豊駅 - 水豊駅

もう一度検索