望月幸明

望月幸明（もちづき こうめい）

プロフィール

望月幸明は、1924年5月25日に山梨県南巨摩郡中富町（現在の身延町）で生まれました。東京大学法学部を卒業後、日本発送電株式会社を経て山梨県庁に入庁しました。天野久知事時代には県人事委員会総務課長を務め、県教育長、県総務部長などを歴任しました。1977年には山梨県副知事に就任。

山梨県知事として

1979年、望月は社会党の擁立を受け、山梨県知事選挙で田邊圀男を破り初当選しました。公約通り3期12年を務めました。県知事時代は、中央自動車道全線開通による企業進出や県民所得の増加など、経済面で好調な時期でした。

県政運営では、中曽根内閣の副総理であった金丸信の支援を受け、県議会では「県民党」と呼ばれるオール与党体制を築きました。バブル景気を背景に、様々な政策を実行しました。1986年には「かいじ国体」を開催し、施設整備に加えて駅前整備などの都市開発も行いました。

また、県有林の活用にも取り組み、総合保養地域整備法（リゾート法）を制定し、県有林地を民間企業に貸し付けてゴルフ場などのリゾート施設を開発しました。教育面では、高校入試総合選抜制度の完全実施や義務教育での少人数学級の推進、生涯学習を目的としたことぶき勧学院の設置などを行いました。1989年にはリニア新幹線実験施設の誘致が決定し、山梨県立文学館を開設しました。

知事引退後

3選を公約としていた望月は、4選への出馬を巡り世論の反発を受け、1990年に知事を退任しました。その後、1992年に参議院議員選挙に立候補しましたが落選。政界を事実上引退し、母校である身延高校の同窓会会長を務めました。

2008年には旭日重光章を受章。2020年8月8日、老衰のため甲府市内の病院で死去しました。享年96歳。死没日をもって正四位に叙されました。

政治姿勢

望月県政は、県政のスローガンに「活気ある山梨づくり」を掲げ、開発や経済振興に力を注ぎました。バブル景気を背景に、リゾート開発や公共事業を積極的に推進しましたが、その一方で、県有林の活用を巡っては批判もありました。教育面では、少人数学級の推進や生涯学習の促進など、先進的な取り組みを行いました。

評価

望月幸明は、山梨県の発展に大きく貢献した政治家として評価されています。県政運営においては、県議会との連携を密にし、オール与党体制を築き、様々な政策を実現しました。一方で、県有林の活用やリゾート開発を巡っては、批判的な意見も存在します。しかし、県政の基盤を固め、今日の山梨県の発展に大きく貢献したことは疑いようがありません。

参考文献

* 有泉貞夫「知事選挙と県政の動向」『山梨県史通史編6近現代2』第五章第二節（2006年,山梨県）

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