中富町

中富町の歴史と文化

中富町（なかとみちょう）は、山梨県南巨摩郡にかつて存在した町であり、2004年9月13日に身延町および下部町との合併により消滅しました。地域の歴史は古代からのもので、その経過をたどることで地域の文化や特産品に対する理解を深めることができます。

歴史

先史古代・中世

古代、律令制のもとで巨麻郡川合郷に所属していた中富町は、平安時代後期には地域に根ざした甲斐源氏の影響を受けていました。特に八日市場には源義光を開祖とする大聖寺があり、地域の歴史に深い関わりを持っています。この時期、南部氏が進出ながらも、町域における甲斐源氏の勢力は確認されていません。南北朝時代には、渋谷重門が領主となり、西嶋地域は彼の支配下にありました。

戦国時代には、甲斐守護の武田氏に従った穴山氏が進出してきました。後に武田氏は滅亡し、徳川家康の支配が始まると、地域は岡部正綱の指導で再編成され、城の跡も見受けられます。この城は後に下山館に替わり、地域の拠点となりましたが、家康の関東移封によって消失します。

近世・近現代

近世においては、20の村から成る中富町が形成され、ほとんどが幕府直轄領となりました。その後、村々は甲府藩に所属し、上飯田代官支配といった変遷を経て、市川代官のもとで治められることになります。この地域は山に囲まれており、耕地面積は限られていましたが、林業や焼畑、狩猟などが行われていました。

特に西嶋では、多くの紙漉き職人が和紙を生産しており、これが「西嶋和紙」として知られています。さらには、富士川沿いには舟運を支える河岸も多く、繁栄が見られました。駿州往還（河内路）を通じて、甲斐と駿河を結ぶ交通の要所としても知られていました。

沿革

1954年には西島村、大須成村、静川村、曙村が合併して新たに町が発足します。1955年には原村が、1958年には下部町の一部が編入され、町は徐々に発展します。しかし、2004年には身延町および下部町と合併し、新しい身延町が誕生し、中富町はその歴史に幕を下ろしました。

経済と特産品

特産品としては、西嶋和紙が有名で、地域の伝統が受け継がれています。また、南天ワインも地域の特産物としてブランド化されています。

名所・旧跡・観光スポット

中富町には、和紙制作を体験できる「なかとみ和紙の里」や、かつて文化人たちが訪れた「句碑の里」が存在しており、観光客にとって魅力的なスポットとなっています。

出身有名人

この地域からは、山梨県知事を務めた望月幸明などもおり、地域の文化や経済に貢献した人物たちがいます。地域の歴史と文化は今も脈々と息づいています。

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