朝倉村 (愛媛県)

朝倉村（あさくらむら）とは

朝倉村は、かつて愛媛県の東予地方に存在した村です。越智郡に属し、旧今治市に隣接していました。特筆すべきは、その人口増加率です。周辺地域からの移住者が多く、県内の他の「町」に匹敵するほどの人口を擁していました。しかし、2005年の合併により、自治体としての歴史を閉じました。また、国内で唯一、場外舟券売り場がある村としても知られていました。

地理

朝倉村は、今治平野の内陸部に位置し、北側は平地で旧今治市と接していますが、他の三方は山地に囲まれています。山地は豊かな森林で覆われ、東予市（現在の西条市）を源流とする頓田川が村を貫き、燧灘（瀬戸内海）へと注いでいます。この地形が、朝倉村の独特な景観を形成していました。

村名の由来

「朝倉」という地名は古くから存在し、その由来には諸説あります。

周囲を山に囲まれ朝暗い説: 文字通り、周囲が山に囲まれていて、朝は薄暗いことから「朝倉」と呼ばれるようになったという説です。
斉明天皇の滞在説: 斉明天皇が百済への援軍派遣の際にこの地に約3ヶ月滞在し、その後九州の朝倉へ進軍したことに由来するという説です。
校倉づくり説: 斉明天皇が滞在した際に、木造の御殿が校倉づくりであったため、「あぜくら」が「あさくら」に転訛したという説もあります。また、この地域には斉明という地名も残っており、斉明天皇との関連性が示唆されています。

歴史

中世以前

朝倉の地は古くから「朝倉郷」と呼ばれ、国府に近いことから開けた場所でした。斉明天皇が訪れたという伝承も残っています。

近世

江戸時代初期には、朝倉上、朝倉中、朝倉下、古谷の4か村に分かれていました。江戸時代後期には朝倉郷7か村に分かれ、支配関係も複雑に入り組んでいました。

明治以降

1879年（明治12年）：朝倉南北村が成立。
1885年（明治18年）：南北に分離。
1889年（明治22年）：町村制施行により、朝倉上と朝倉上之村が合併し上朝倉村に、残りの村が合併し下朝倉村となりました。
1956年（昭和31年）：上朝倉村と下朝倉村が合併し、朝倉村が誕生しました。
1981年（昭和56年）：朝倉ダムが完成。
1983年（昭和58年）：一広が朝倉工場を設置。
1989年（平成元年）：ハートウエル朝倉工場が完成。
1991年（平成3年）：緑ヶ丘団地が完成。
1993年（平成5年）：愛媛県初の競艇場外販売場「ボートピア朝倉」がオープン。
1997年（平成9年）：朝日ヶ丘団地が完成。
1998年（平成10年）：緑のふるさと公園が完成。
2000年（平成12年）：タオル美術館ASAKURA（現：タオル美術館ICHIHIRO）が開館。
2005年（平成17年）：今治市との合併により、自治体としての歴史を終えました。

行政

平成の市町村合併では、朝倉村は今治市との合併に異論はなく、スムーズに合併が進みました。一部、旧東予市に属する黒谷地区から分離して今治市グループに入る動きがありましたが、実現には至りませんでした。

教育

村内には、朝倉中学校と朝倉小学校がありました。高等学校は存在しませんでした。

産業

朝倉村では、米麦を中心とした農業が盛んでしたが、近年では野菜や果樹栽培も増えていました。主な事業所としては、一広朝倉工場やハートウエル本社・工場がありました。

交通

朝倉村には鉄道は通っておらず、高速道路や国道もありませんでした。県道としては、愛媛県道154号東予玉川線、155号今治丹原線、162号朝倉伊予桜井停車場線が通っていました。

まとめ

朝倉村は、その独特な地形と歴史、そして人口増加という特異な状況から、注目を集めた地域でした。合併によりその名前は消えましたが、その歴史は今も語り継がれています。

脚注

愛媛県の廃止市町村一覧
朝倉村 (曖昧さ回避)

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