燧灘

燧灘（ひうちなだ）

燧灘は、瀬戸内海の中央部に位置する海域の一つです。香川県の荘内半島と愛媛県の高縄半島に挟まれた、東西約60km、南北約40kmの広がりを持ち、四国側に面しています。

名称の由来

燧灘の名前には、いくつかの説があります。

越智玉澄の伝説: 伊予国司の越智玉澄が乗った船が、養老4年（720年）に土居沖で転覆しかけた際、豊受山に祈ったところ、西方の赤星山の頂に火の玉が現れて海を照らし、風が収まったことから「火映灘」と名付けられたという説。
高麗への軍船の伝説: 高麗へ向かう軍船が宇摩沖で遭難しかけた際、赤星山から光が海を照らし、無事に宇摩地域へ辿り着けたことから「火うち灘」と呼ばれるようになったという説。
潮流の火花: 激しい潮流によって生まれる水しぶきが、火打石の火花に似ていることから名付けられたという説。

地理的特徴

燧灘は、備後灘や安芸灘（斎灘）に隣接しており、平均水深は約24メートルです。備後灘との類似点が多く、島や海峡が少ないため、潮流が比較的安定しています。干満の差は最大で約3メートルにも達し、安芸灘の潮流の速さは、燧灘の潮の干満に影響を受けているとされています。

沿岸部は遠浅の砂浜海岸が発達しており、近世までは無数の干潟が存在し、ヒゲクジラ類も回遊していました。しかし、戦後の工業用地造成のため、浜辺や干潟の多くが埋め立てられ、クジラは捕鯨や環境破壊によって姿を消しました。現在では、今治市の唐子浜や桜井海岸、西条市の河原津、観音寺市の琴弾公園などに、わずかに自然の砂浜が残っており、これらは瀬戸内海国立公園に含まれています。

豊かな漁場と生態系

燧灘は、タイ、サワラ、カタクチイワシなどの好漁場として知られています。また、現代の瀬戸内海においては、スナメリが比較的多く生息しており、カブトガニの繁殖地は愛媛県の天然記念物に指定されています。

沿岸の主要都市

燧灘沿岸には、以下の主要都市が東から順に位置しています。

三豊市
観音寺市
四国中央市
新居浜市
西条市
今治市

主な島

燧灘には、以下の島々があります。

香川県

伊吹島
丸山島
蔦島
円上島
股島

愛媛県

関連項目

* 四国のみち

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