朝日新聞東京本社ビル

朝日新聞東京本社ビルの概要

朝日新聞東京本社ビルは、東京都中央区築地に位置しています。設計及び施工は株式会社竹中工務店が手がけており、ビル内にある「風雲百年」の彫刻は、朝日新聞創刊100周年を記念して寄贈されたものです。

このビルは、地下4階、地上16階、さらに塔屋が2階ある造りで、高さは71メートルに達します。建築にかかる総工費は約414億円にもなりました。

ビルの竣工と移転

1977年に着工し、1980年の4月23日に竣工式が行われました。その日の朝日新聞朝刊には新本社に関する8ページにわたる特集が掲載され、多くの関心を集めました。同年の9月23日には、朝日新聞東京本社が有楽町から築地に移転を完了し、翌日には関東地方で強い地震が発生しました。この地震によって水漏れ事故が起こり、新聞製作システムの電源が切れるという予期せぬ事態にも見舞われ、夕刊の配達が遅れる影響が出ました。

竣工披露パーティと著名人の訪問

1980年11月21日、新社屋の竣工披露パーティには、その当時の鈴木善幸首相や著名な実業家の松下幸之助氏などが出席しました。1981年5月11日には昭和天皇が新しい社屋を訪れ、翌年には現上皇と現天皇も見学に訪れました。また、ポーランドのワレサ議長やイタリアのペルチーニ大統領、ヨルダンのフセイン国王など、海外の重要な関係者も多く訪れるなど、築地新本社は国際的な場としての役割を果たしました。

入居企業と印刷工場

朝日新聞東京本社ビルには、朝日新聞社をはじめ、関連会社として朝日新聞出版や朝日メディアラボベンチャーズも入っており、ビル内の地下部分には新聞印刷工場が存在します。2022年現在、都心部の新聞社で地下に印刷工場を設けているのは、ここ朝日新聞東京本社だけとなっています。

ビル内の商業施設

ビル内には飲食店やコンビニエンスストアも入居しており、2階にはタリーズコーヒーやレストラン「アラスカ」が、8階には従業員専用のローソンが設置されています。

土地入手の歴史

築地のこの土地はもともと国有地として、かつては海上保安庁の施設があった場所で、1973年に朝日新聞社と大蔵省との土地交換により、中央区築地の土地を入手した経緯があります。土地の面積は4645㎡で、報道ではこの土地の評価額が7億8800万円とされています。

さらに、1973年2月には新たに広い土地を現金で購入しました。当時、朝日新聞社の社長だった広岡知男が、日中国交正常化に関連した背景から、当時の総理大臣であった田中角栄氏に土地の払い下げを懇願したというエピソードも伝えられています。この土地には元々公務員住宅の建設が予定されていましたが、発見された縄文時代の環状集落跡によって開発計画は中止されました。

1988年には、無償で地元区に貸し付けられ、『塚山公園』として整備されることになります。朝日新聞の歴史は、古い土地の価値や文化をも継承しており、それに伴い報道機関としての責任を果たしていく重要な意味を持っています。

旧社屋の移転と再開発

朝日新聞社が築地に新社屋を建設することに伴い、かつての有楽町社屋は解体され、その跡地は新たな商業施設として再開発されました。有楽町マリオンとしてオープンし、名店やエンターテインメントが集まるスポットへと生まれ変わりました。旧社屋にあった大ホールはそのまま有楽町朝日ホールとして利用される一方、新社屋にも新たに浜離宮朝日ホールが設けられています。

このような流れの中で、朝日新聞東京本社ビルは、単なる業務拠点としてだけでなく、文化や歴史の発信地としても重要な役割を果たし続けています。

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