朝服

朝服（ちょうふく）とは

朝服とは、古代日本において官人が朝廷に出仕する際に着用した衣服のことです。特に飛鳥時代から平安時代にかけて着用された装束を指し、時代が下るにつれて国風文化の影響を受け、束帯（そくたい）へと変化していきました。

概要

朝服は、唐の服飾の影響を受けて制定されました。上衣である袍（ほう）には、文官用の縫腋袍（ほうえきのほう）と、武官用の闕腋袍（けつえきのほう）がありました。縫腋袍は脇が縫われたもので、闕腋袍は脇が開いているのが特徴です。制定当初は、唐風の色濃いものであったと考えられています。

孝徳天皇の時代には既に制度として存在していましたが、天武天皇の時代に一時廃止されました。その後、文武天皇の時代に大宝令が制定された際、服飾も一新され、新たに礼服（らいふく）・朝服・制服の制が定められました。

奈良時代の『養老律令』の「衣服令」によると、文官の袍は「衣」、武官の袍は「襖（おう）」と呼ばれていました。この「襖」が闕腋袍であったと考えられています。

唐においては、日本の朝服に相当するものを「常服」と呼んでいました。唐の「朝服」は、裳（も）を伴う日本の「礼服」に相当する衣服です。

位階と服色・構成

令制によれば、位階によって服の色が定められていました。一品親王以下、臣下の五位までは、礼服と同じ色とされ、親王は深紫、二位以下五位以上は浅紫でした。臣下は一位が深紫、二位・三位が浅紫、四位が深緋（こきあけ）、五位が浅緋（うすあけ）、六位が深緑、七位が浅緑、八位が深縹（こきはなだ）、初位が浅縹（うすはなだ）と定められました。

五位以上の者は、皁羅頭巾（くりのうすはたのときん、くりのらのときん）、牙笏（げしゃく）、金銀装腰帯、白袴、烏皮履（くろかわのくつ、うひり）を着用しました。六位以下の者は、皁縵頭巾（くりのかとりのときん）、木笏、烏油腰帯、白袴、白襪（しろしとうず）、烏皮履を着用しました。

袍を締める際には、後の束帯と同様に石帯（せきたい）を用いました。この石帯に付けられていた石が、日本各地の官衙跡地の遺跡から出土しています。

時代の変遷

時代を経るにつれて、朝服は次第に束帯へと変化していきました。それに伴い、官人の勤務服から儀式の際の式服や正装へと地位が昇格しました。

服色についても変遷があり、宝亀5年正月に大臣で二位の者は中紫とし、大同元年7月には七位を六位と同じく深緑、初位を八位と同じく深縹としました。弘仁元年9月には諸王二位以下の浅紫を中紫に、大臣で一位を中紫から深紫に、二位三位の浅紫を中紫に改めるなどの変更がありました。染色技術の変遷と相まって、寛弘年間以降は四位以上は黒、五位は蘇芳（すおう）、六位及び六位以下は縹（はなだ）の3色となりました。

朝服は、日本の服飾史において重要な位置を占める衣服であり、その変遷は日本の文化史を反映していると言えるでしょう。

関連項目

奈良時代
律令
束帯
和服

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