朝潮型駆逐艦

朝潮型駆逐艦について

朝潮型駆逐艦（あさしおかたくちくかん）は、大日本帝国海軍が運用していた一等駆逐艦の艦級で、同型艦は十隻存在しました。一番艦「朝潮」が沈没した後、艦級は満潮型駆逐艦と改名されました。この艦級は特型駆逐艦の設計をもとに、さらに改良を加えたものであり、当時の艦隊運用における重要な位置を占めていました。

概要

1934年に計画された朝潮型駆逐艦は、大型駆逐艦としての建造が決定されました。日本は1930年のロンドン軍縮条約により、1,500トンを超える駆逐艦の建造が制限されていました。このため、初春型や白露型といった中型艦では艦隊決戦に十分対応できないとされ、大きさを特型駆逐艦に戻すことが求められました。実際の竣工は1937年から1939年にかけて行われ、艦隊編入は1940年から開始されました。しかし、これらの艦は全て太平洋戦争に参与し、最終的には戦没してしまいました。

建造背景

ロンドン軍縮条約後、日本は規定に従った駆逐艦の設計に悩まされました。初春型駆逐艦は1,400トンの計画で設計されたものの、兵装は特型並みに強化され、その結果として復元性に問題が発生しました。この問題により、初春型の建造は6隻で打ち切られ、その後に白露型が建設されることになりました。朝潮型の建造は、国際情勢の緊迫化や軍縮条約からの脱退を受けた判断であり、艦隊決戦型の駆逐艦が必要とされたためです。

計画

この艦級の計画番号はF48であり、設計当初の仕様は基準排水量が1,961トン、速力が35ノットを想定していました。しかし、第四艦隊事件による設計変更により、速力は34.85ノットに抑えられました。それでも、竣工艦の実際の公試では、速力が35.98ノット、航続距離は5,190海里を達成しました。この驚異的な数字から、用兵側はさらなる性能向上を求め、陽炎型という新たな駆逐艦の計画が始まることとなりました。

艦型と装備

朝潮型は白露型を基本にした設計が踏襲されていました。主砲には三年式50口径12.7センチ連装砲が搭載され、比較的優れた対空能力を持っていましたが、アメリカ海軍の駆逐艦と比較すると、装填速度において劣る部分が見られました。また、機銃は九三式および25mm連装機銃が装備され、戦況に応じて増備が行われました。

戦歴

朝潮型駆逐艦は、開戦時から様々な海戦に参加しました。「朝潮」「大潮」「満潮」「荒潮」の四隻はマレー上陸作戦などに赴き、後にはミッドウェー海戦やソロモン海戦にも関与しました。これらの艦は次々に戦没していくものの、「満潮」だけはレイテ沖海戦最後まで生き残りを果たしました。

その後の4隻、および残る艦も激しい戦局に巻き込まれ、最終的には全艦が戦没しました。

総評

朝潮型駆逐艦は、その設計思想から艦隊型駆逐艦の先駆けとなり、ダイナミックな艦歴を持つ重要な艦級でありました。特に、艦隊決戦型としての役割は大きく、当時の海軍力における重要な要素となっていましたが、最終的には全艦の戦没により、その歴史は幕を下ろしました。この艦型は以降の駆逐艦建造にも多大な影響を与えたことで知られています。

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