朝田寺

光福山延命院 朝田寺

朝田寺は、三重県松阪市朝田町に位置する天台宗の寺院です。光福山を山号とし、延命院を院号とします。本尊は地蔵菩薩で、地域住民からは「朝田の地蔵さん」の名で親しまれています。

歴史

寺伝によれば、朝田寺は平安時代に練公長者の願いにより、空海（弘法大師）によって創建されました。本尊の地蔵菩薩立像も空海の作と伝えられています。鎌倉時代の正応年間には、伏見天皇の院宣により七堂伽藍が建立されましたが、織田信長の伊勢国平定の際に焼失しました。その後、元亀年間に現在の場所に移転し、慶長年間には松坂城主の古田重勝から寺領の寄進を受けました。

江戸時代には、絵師の曾我蕭白が二度この寺を訪れ、多くの作品を残しました。明治時代以降は牡丹庭園が作られ、現在では約700株の牡丹が咲き誇ります。2014年には、地元で活躍する作家たちによって、経堂に襖絵が寄贈されました。

近年では、1997年に山門の保存修繕が完了し、2002年には受付棟が落成。本尊はギャラリーに移されました。2007年にはペット墓地が開設され、2012年には鐘楼の大規模修繕と移設工事が完了しました。

諸堂

本堂: 慶安5年（1652年）に建てられた入母屋造の本瓦葺で、三重県指定重要文化財です。内部は外陣・内陣・内内陣に分かれ、本尊の地蔵菩薩立像が安置されています。曾我蕭白筆の国指定重要文化財『唐獅子図』は、もともと本堂の内陣壁面に貼られていました。
経堂: 書院造りの建物で、元禄年間に建立されたと考えられています。内部には上段の間を備え、当時の鬼瓦には建立年を示す銘が刻まれています。
山門: 2000年に大規模修繕工事が完了。工事中に落成年月が記された木札が発見されました。
鐘楼: 2012年に半解体修繕工事が行われ、瓦の葺き替えや柱梁の交換が行われました。鐘楼は、もともと弥肋堂があった場所に移築されました。
書院: 市指定文化財となっています。
弥肋堂: 老朽化のため2010年に解体され、現在は鐘楼が建っています。

道開け供養

朝田寺の周辺地域には、道開け供養と呼ばれる独特の風習が残っています。これは、葬儀後から地蔵盆までの間、故人の衣類を本堂の天井に掛け、地蔵菩薩に冥福を祈るというものです。

年間行事

牡丹: 4月中旬から下旬にかけて、約700株の牡丹が咲き誇ります。
地蔵盆: 8月16日から23日まで行われ、本堂や身がわり地蔵で回向が行われます。
朝田地蔵祭り: 地蔵盆の最終日に行われる祭りで、盆踊り、採灯護摩、花火などが行われます。
除夜の鐘: 12月31日に行われ、108つの鐘を鳴らして新年を迎えます。

文化財

重要文化財（国指定）
木造地蔵菩薩立像
紙本墨画唐獅子図（曽我蕭白筆）
県指定文化財
盂蘭盆経説相図
朝田寺山門
朝田寺本堂
木造僧形坐像
市指定文化財
唐人物図（曽我蕭白筆）
雄鶏図（曽我蕭白筆）
雁図（曽我蕭白筆）
布袋図（曽我蕭白筆）
書院

堀町遺跡との関わり

朝田寺の周辺は、縄文時代から江戸時代の集落跡である堀町遺跡となっています。この遺跡からは、平安時代の陶器が発掘されており、古くから寺院と関わりの深い場所であったことがうかがえます。

周辺風景

朝田寺は、周囲を田んぼに囲まれた静かな場所に位置しています。山門へと続く道には松並木が続いています。

交通

近鉄山田線・JR紀勢本線・JR名松線 松阪駅より車で約10分
近鉄山田線 東松阪駅より徒歩30分
JR紀勢本線 徳和駅より徒歩30分
伊勢自動車道 松阪インターチェンジより車で約20分

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