朝野群載

朝野群載（ちょうやぐんさい）

『朝野群載』は、平安時代における詩文や宣旨、官符、書札など、さまざまな文書を体系的に分類・編集した重要な文書集です。この著作は、1116年（永久4年）に算博士である三善為康によって編纂されましたが、その後も増補が行われ、最終的には保延年間（1135～1141年）に完成したとされています。

構成と失われた巻

元々は30巻から構成されていましたが、現在は10巻、14巻、18巻、19巻、23巻、24巻、25巻、29巻、30巻の9巻が失われてしまっており、その内容を知ることはできません。残っている部分には、文筆、朝儀、神祇官、太政官、摂籙家や公卿家、別奏、功労、廷尉、内記、紀伝、陰陽道、暦道、天文道、医道、仏事、太宰府、異国、雑文、凶事、及び諸国の雑事や公文、功過に関する各項目がありますが、失われた巻にどのような分類が含まれていたかは不明です。

文書集としての性格

『朝野群載』は、詩文を集めた作品集であることを超え、特に諸司の事務に関わる文書が多く含まれていることから、実務的な性格が強い文書集といえるでしょう。編者である三善為康が、自身の身近で見られる「反故」を集めたことからも、本書に収録されている資料の多くが平安時代末期の実情を映し出していることが伺えます。これによって、律令政治の様相を伝える貴重な資料としての位置づけが成されており、当時の行政や政治の実態に関心を持つ研究者にとって欠かせない文書といえるでしょう。

参考文献とその影響

この文書集の重要性を示すために、昭和13年には黒板勝美が編集した『新訂増補国史大系』（吉川弘文館）の第29上巻に収録され、多くの人々に知識と理解を提供しています。また、竹内理三による「古文書学より見た『朝野群載』」や弥永貞三の「朝野群載」など、関連する研究文献も存在しており、これらを通じてさらに深い理解が得られることでしょう。さらに、木本好信が『朝野群載総索引』において展開している内容も、研究者たちに多くの示唆を与えています。

結論

『朝野群載』は、平安時代の政治や文化を知る上で、不可欠な文書集であり、その内容は当時の社会構造や行政、文化の変遷を理解するための重要な資料となっています。失われた部分の存在も含め、これからの研究において明らかにされるべき多くの課題を抱えた名著です。

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