朝鮮の科挙

朝鮮の科挙制度

朝鮮における科挙制度は、古代から中世にかけての官吏任命方法を示す重要な仕組みでした。科挙は新羅時代に始まり、高麗、そして李氏朝鮮で発展を遂げました。この制度は、文官や武官を選考するための試験を通じて、官職に必要な資格を持つ者を選ぶ仕組みでしたが、時には政治的な権利や特権と絡み合うこともありました。

科挙制度の導入

科挙の起源は、788年に新羅の元聖王によって唐から影響を受けて導入された「読書三品科」にさかのぼります。この制度は新羅における身分制度「骨品制」の影響を受け、官吏の選定に限界があったため、本格的な導入とは言えませんでした。

高麗時代の科挙

高麗時代において、科挙は光宗の時代から本格的に実施されました。光宗は貴族の勢力を牽制する目的で科挙を定めましたが、貴族の子供たちが科挙を経ないで官職に就く「蔭叙」との並行運用も行われました。これにより、高麗の官僚制度には貴族的な特性が色濃く残ったと言えるでしょう。また、科挙試験は「製述科」「明経科」「雑科」の三つに分かれ、それぞれに応じた専門的な試験が実施されていました。

李氏朝鮮時代の科挙

李氏朝鮮では、科挙試験が文科、武科、雑科に分けられ、文科は定期的な試験が行われていました。文科合格者には証明書が授与され、その内容によって区別がされました。文科の試験は初試、覆試、殿試の順に行われ、各道から応じる人々が選抜され、最終的に王の前で順位が決められました。応募資格は良民以上でしたが、特定の身分に制限もありました。

科挙の課題と弊害

しかし、科挙制度には多くの課題も抱えていました。試験会場の混雑や、答案の採点に対する不満が高まり、特に李氏朝鮮中期以降は問題視されるようになりました。主な批判としては、応募者数の多さから生じる事故や、試験官の採点能力の限界などがありました。試験ではしばしば他者に頼る行為が行われ、地方ごとの不公平感も問題となっていました。このような背景の中で、高麗や李氏朝鮮における科挙制度は常に改革を求められ、時には社会の不満を招く要因ともなっていました。

結論

総じて、朝鮮の科挙制度は、時代を超えて官吏を選出する方法として重要な役割を果たしましたが、同時にその運用には多くの課題が付きまとったことが、歴史的に見えてきます。

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