朝鮮宇宙空間技術委員会

朝鮮宇宙空間技術委員会（KCST）

朝鮮宇宙空間技術委員会（Korean Committee of Space Technology - KCST）は、朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）の国営宇宙機関です。国家航空宇宙技術総局（NATA）という別名も持ちますが、実質的には同一組織と見なされています。

概要

KCSTに関する公式な情報は限られていますが、1980年代に設立されたと推測されています。北朝鮮のミサイル指導局との関係が指摘されており、人工衛星開発を含む全ての宇宙開発計画を統括しています。主な射場は舞水端里と東倉里の2箇所です。

2009年、北朝鮮は有人宇宙飛行計画や再利用可能なロケット開発といった野心的な宇宙計画を発表しました。同年3月には宇宙条約と宇宙物体登録条約に署名し、国際社会への参加姿勢を示しました。

2015年、北朝鮮は国家宇宙開発局（NADA）として国際宇宙航行連盟（IAF）への加盟を申請し、一時承認されました。しかし、韓国航空宇宙研究院や国連安保理の専門家パネルからの指摘で、NADAがKCSTの別名に過ぎないことが判明し、制裁対象であることが確認されました。その結果、IAFはNADAの加盟を取り消しました。その後、NADAは2023年に国家航空宇宙技術総局（NATA）に名称を変更し、偵察衛星の打ち上げに成功したと主張しています。

光明星1号・2号の打ち上げ

北朝鮮は、1998年と2009年にそれぞれ「光明星1号」と「光明星2号」の打ち上げを試み、地球周回軌道への投入に成功したと主張しました。しかし、他国はこれらの衛星を追跡できず、事実上、弾道ミサイル発射実験だったと分析しています。

1998年8月31日: テポドン1号（白頭山1号）により光明星1号打ち上げを主張。
2009年4月5日: テポドン2号改良型（銀河2号）により光明星2号打ち上げを主張。

光明星3号の打ち上げ

2012年、北朝鮮は新たな人工衛星打ち上げ計画を発表し、東倉里射場を国際メディアに公開しました。これは、弾道ミサイル技術を使用した飛翔体発射を禁じた国連安保理決議に抵触しないと主張するためのものでした。

2012年4月13日: 銀河3号による光明星3号打ち上げを試みましたが、失敗に終わりました。
2012年12月12日: 再度、銀河3号で光明星3号2号機を打ち上げ、軌道投入に成功したと発表。北米航空宇宙防衛司令部（NORAD）もこれを認めています。

この打ち上げ成功は、金日成生誕100周年を祝うためのものであり、金正恩体制の権威を示す目的があったとされています。

国連安全保障理事会による制裁

2013年1月、国連安保理は光明星3号の打ち上げを受け、KCSTを含む北朝鮮の複数の団体と個人を資産凍結の対象とする制裁決議2087を採択しました。これにより、北朝鮮の宇宙開発は国際的な制裁下に置かれることとなりました。

関連項目

朝鮮民主主義人民共和国関係記事の一覧
衛星管制総合指揮所
北朝鮮によるミサイル発射実験
北朝鮮によるミサイル発射実験 (1993年)
* 北朝鮮によるミサイル発射実験 (2006年)



KCSTは、北朝鮮の宇宙開発を象徴する存在であり、その活動は国際社会の関心を集め続けています。度重なる失敗と制裁にも関わらず、北朝鮮は宇宙開発を推進しており、その動向は今後も注目されます。

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