朝鮮民主主義人民共和国における選挙

北朝鮮の選挙制度

朝鮮民主主義人民共和国、通称北朝鮮では、選挙がいかに実施されているのか、そしてそのプロセスがどのように社会に影響を与えているのかを理解することは重要です。北朝鮮の選挙は、国の最高議会である最高人民会議と地方人民会議において、特定の周期で開催されています。最高人民会議の選挙はおおむね4～5年ごとに行われ、地方人民会議は4年ごとに実施されます。

選挙構造と候補者

北朝鮮の選挙においては、すべての議席が祖国統一民主主義戦線によって確保されています。この戦線内で最も影響力を持つのは朝鮮労働党で、議席の約87.5％を占めています。他に朝鮮社会民主党が7.4％、天道教青友党が3.2％、独立した議員が1.9％とされています。選挙によって選出された候補者は、常にほぼ全会一致の承認を受けるという形式を取ります。2023年11月には地方選挙の投票率が99.63％という高い数字を記録しましたが、その実態には疑問視される意見が多く存在します。

選挙の実際

選挙の説明を行った北朝鮮の政府高官によると、候補者は推薦されることになっており、これは政党によるものがほとんどです。候補者は統一戦線によって審査され、中央選挙管理委員会によって議席が配分されます。また、各座席には通常1名の候補者が表示され、投票は名目上は秘密投票ですが、実際には候補者の名前を消すことで反対票を投じる必要があります。このような方法には、選挙の自由度に対する疑念を呼ぶ要因が含まれています。国民は投票しないことが許されず、国においては投票率は常にほぼ100％となる傾向があります。

最高人民会議の機能

最高人民会議のメンバーは5年振りに選出され、会期は最大で年間10日程度です。この議会では常任委員会が設立され、議会が開催されていない時期でも立法機能を果たします。また、国家の重要なポストには国務委員会の委員長である金正恩氏や、最高人民会議常任委員会委員長、首相が選出されます。

地方選挙の特徴

地方選挙は1999年から実施され、市や郡、道における人民議会の代表を選出します。しかし、市長や道の知事は間接的に選出され、実際の権限は選ばれていない党書記に委ねられる傾向にあります。

選挙への批判

北朝鮮の選挙はしばしば批判されており、実際の意思表示が行われているのか疑念を抱かれることが多いです。選挙は形だけのものであり、競争が存在しないとの意見があります。投票率がほぼ100％に達していることで、選挙が形式上の国勢調査に過ぎないとの指摘もあります。最も監視されているとされる「人民班」が、人民の行動を監視し、投票拒否や反対票の投じる行為が反逆行為として看做されるため、実際にその行為に出ることは極めてリスクが高いとされています。

最新の選挙

2023年11月26日に実施された統一地方選挙が最近のものであり、その前には2019年に選挙が行われています。これらの選挙は、北朝鮮の政治体制と市民の声をどのように反映しているかを考える上で、重要な事例となっています。過去の選挙と同様に、近年の選挙でもその形式と実質の乖離が懸念され、国際社会の注目が集まっています。

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