朝鮮社会民主党

朝鮮社会民主党は、朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）に存在する政党の一つです。その歴史は、第二次世界大戦後の混乱期、1945年11月3日に結成された朝鮮民主党に遡ります。朝鮮民主党は、中小企業家や手工業者、小売商、一部の小作農、そしてキリスト教信者らによって設立され、民族独立、南北統一、民主主義確立を綱領に掲げました。

当初、朝鮮民主党は曺晩植を委員長に迎え、キリスト教信者を中心に支持を拡大しました。しかし、1946年1月、信託統治反対を唱えた曺晩植はソ連軍によって軟禁され、崔庸健が委員長に就任。朝鮮民主党は事実上、朝鮮共産党（現在の朝鮮労働党）の衛星政党として組み込まれることになります。

この事態を受け、党内の右派勢力は南へ渡り、ソウルで新たな朝鮮民主党を結成しました。南朝鮮（現在の韓国）には既に韓国民主党（韓民党）や勤労人民党など複数の政党が存在していましたが、この新たな朝鮮民主党はそれらとは別個の組織でした。1948年の韓国初代総選挙では、この南側の朝鮮民主党が1議席を獲得しています。一方、北に残った朝鮮民主党は、朝鮮労働党の支配下で活動を続けました。

1981年、北朝鮮の朝鮮民主党は朝鮮社会民主党と改称しました。一方、南側の朝鮮民主党は、1961年の5・16軍事クーデターで他の政党とともに解散を余儀なくされました。

朝鮮社会民主党は公式には「独立、主権、民主主義、平和と人権の保護」を政治的モットーとしていますが、実際には朝鮮労働党の指導下にあり、その一党独裁体制を支える役割を担っています。最高人民会議に代表を送ることで、複数政党制の体裁を保っていますが、野党としての機能は事実上ありません。党中央委員会委員長は、政府の高官を兼務していることも多く、労働党に対する批判や牽制を行うことはできません。

対南工作においても、朝鮮社会民主党は重要な役割を果たしています。天道教青友党とともに、朝鮮労働党統一戦線部の指揮の下、韓国の進歩的政党や親北勢力との交流を行っています。かつては、韓国の民主労働党とも交流がありましたが、民主労働党と国民参与党が合併して統合進歩党が結成された後は、その関係は不明瞭となっています。統合進歩党はその後解散しており、今後の状況は不透明です。

このように、朝鮮社会民主党は、名目上は独立した政党であるものの、実際には朝鮮労働党の一党独裁体制を支える衛星政党としての性格が強く、その活動は労働党の政策と密接に関連しています。北朝鮮の政治体制を理解する上で、朝鮮社会民主党の役割を無視することはできません。その歴史と現状を詳細に考察することで、北朝鮮の政治構造や対南政策への理解を深めることができます。

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