朝鮮民主主義人民共和国の鉄道

北朝鮮の鉄道について

概要

朝鮮民主主義人民共和国、いわゆる北朝鮮の鉄道網は、国家の主要交通手段として重要な役割を果たしています。国民の多くが自家用車を持たず、また他の陸上交通機関も限られているため、鉄道は主要な移動手段として利用されています。鉄道網は平壌を中心に構築されており、西部、東部、北部の各路線や東西連結路線から成っています。2016年のデータによれば、総延長は約5,300kmで、そのほとんどが単線ですが、約4,100kmが電化されており、電化率は80%とされています。これは韓国の69%を上回っています。ただし、最近のエネルギー不足が、電化状況の維持を困難にしています。特に、2016年10月には電力事情が深刻化し、通常であれば1日で移動できる距離が10日かかるという状況が生じました。

鉄道インフラの現状

北朝鮮の鉄道の軌道は標準軌と広軌、狭軌が併用されていますが、使用される枕木には日本統治時代のものや中古品、自国生産のものが未だに混在しており、特に自国生産のものは品質が低いため、運行の安定性に課題があります。国際列車としては、平壌－瀋陽－北京間のK27/28次列車や、平壌－豆満江－ハバロフスク－モスクワ間の列車が運行されており、外国からのアクセスも存在します。しかし、全体の電力不足や運営の不透明さから、多くの列車が運行されておらず、特に地方から平壌への切符の取得が困難な状況です。これにより、鉄道員との間で賄賂のやりとりが行われることもしばしばです。

鉄道の歴史

北朝鮮の鉄道は、1900年に京仁線が開通して以来、拡大を続けてきました。日本統治時代には多くの主要路線が敷設され、1970年代からは電化工事が進められましたが、エネルギー不足や整備不良が常態化し、運行の不安定さが問題視されています。特に1990年代以降は、食料不足の影響で多くの列車が人々の生活物資を運ぶために利用され、混雑が常態化しました。

車両の種類

北朝鮮では、電気機関車や内燃機関車、蒸気機関車が様々なタイプで運行されています。電気機関車には「赤旗型」などがあり、内燃機関車や外国製の車両も一部利用されています。一方で、蒸気機関車は近年まで運用されていましたが、現在ではほとんどが使われていない状態です。

運行の状況

運行形態は急行、準急行、鈍行が存在し、主要路線の表定速度は30～60km/hです。特に、平壌－清津路線には優等列車があり、現在でも国際輸送の役割を果たしていますが、実際には運行ダイヤが守られず、遅れが出ることが常です。

鉄道へのアクセス

旅客が鉄道を利用するためには、特定の証明書の提示が求められ、その取得には時間がかかることが多いです。また、近年は発行基準が緩和されつつありますが、賄賂の授受が行われることもあります。なお、北朝鮮内では特別な列車運行があり、指導者の移動に際しては鉄道網が特別運行されることもあります。

結論

北朝鮮の鉄道は、国家の交通網の重要な部分を形成しており、その履歴は複雑です。整備状況や運行の不安定さが課題ですが、国際的な輸送の一端を担い、今後の発展が期待されるエリアでもあります。

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