朝鮮民主主義人民共和国国立交響楽団

朝鮮国立交響楽団（SSO）

朝鮮国立交響楽団（朝鮮民主主義人民共和国、略称：SSO）は、1946年に設立された北朝鮮の主要な交響楽団です。様々な音楽活動を通じて、国内外の音楽文化の発展に寄与してきました。国際交流を重視し、独自の音楽的スタイルと共に、数多くのオペラやバレエの演奏に参加しています。

歴史の歩み

SSOは1946年8月8日に『中央交響楽団』として創設され、1947年からは国立芸術劇場のメンバーとして活動を開始しました。特に、キム・スンナム作曲の『人民の指揮官』というグランド・オペラの初演は、朝鮮半島における重要な音楽イベントの一つです。

1956年には、国立芸術劇場から独立して『国立芸術劇場交響楽団』となり、以降は映画音楽の録音も行うようになりました。1970年代には、『アリラン』や『血の海』といった北朝鮮を代表する音楽作品を多数初演しました。1980年には現在の名称に改称され、以後、韓国の作曲家尹伊桑の作品を北朝鮮で初めて演奏するなど、国際的な活動も広がっています。

主な活動と国際交流

SSOは世界各国で演奏旅行を行い、特に1986年のワルシャワ現代音楽祭や1989年のビエナール現代音楽祭への参加は重要なマイルストーンとなりました。これらの機会を通じて、オリヴィエ・メシアンやジークフリート・マトゥスといった著名な作曲家の作品を演奏し、国際的な評価を高めました。

また、2000年には北朝鮮における最高の名誉である金日成勲章が授与され、演奏団体としての地位が一層向上しました。2008年には、ニューヨーク・フィルハーモニックとの共演が実現し、国際的な音楽界への存在感が強調されました。

レパートリーと本拠地

北朝鮮国内で唯一、西洋のオーケストラスタイルを有するSSOのレパートリーは、70%が北朝鮮作曲家の作品で構成されています。活動の中心地は平壌の牡丹峰劇場で、ここで定期的に演奏会が行われています。指揮者やゲストの参加も豊富で、歴代の指揮者には金炳華や井上道義などの著名人が名を連ねています。

韓国とのコラボレーション

1998年には尹伊桑統一コンサートを通じて韓国の指揮者とも共演し、2000年には初めて韓国を訪問するなど、韓国の音楽団体との交流も活発です。KBS交響楽団との合同演奏会を行うなど、民族を越えた音楽の共演は、両国の音楽文化において重要な意義を持っています。

録音と音楽の普及

SSOは1980年代から録音活動にも力を入れ、様々な音楽レコードをリリースしています。特に、日本のカメラータ・トウキョウから尹伊桑の作品を収録したCDは好評を得ており、2000年以降は北朝鮮の作曲家による音楽作品を中心にしたレーベル『KMC』からも多くの録音を行っています。

SSOは、北朝鮮における音楽文化の重要な担い手として、今後も多様な活動を展開し続けるでしょう。

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