朝鮮演劇建設本部

朝鮮演劇建設本部の歴史と活動

朝鮮演劇建設本部（通称：演建）は、太平洋戦争の終結直後、1945年8月18日にソウルで設立された演劇団体です。この団体は、戦後の韓国における演劇活動の重要な基盤を築くことを目的としていました。結成当初から、演建は左派と右派の演劇人が集まった汎演劇人団体として活動を開始しました。

発足とその背景

1945年8月15日に太平洋戦争が終わるや否や、韓国の芸術界は急速に動き出しました。8月16日、林和を中心に朝鮮文学建設本部が設立され、続いて様々な芸術分野で団体が形成されました。その中でも、朝鮮演劇建設本部の創立は特に重要な出来事として位置付けられます。この団体には、宋影、金兌鎮、李曙郷、咸世徳、朴英鎬、金承久、羅雄、安英一など、多くの著名な演劇人が参加しました。彼らは日本の統治下でも活動していたため、官製国民演劇との繋がりも持っていましたが、創立当初はイデオロギー対立を乗り越え、共通の目標を持っていました。

設立の翌日、8月18日には、朝鮮文化建設中央協議会が創立され、演劇建設本部はその傘下に位置付けられることになりました。宋影が委員長、安英一が書記長を務め、地域の文化活動を統括しました。

演劇活動と方針

朝鮮演劇建設本部は、以下の4つの基本方針を掲げて活動を展開しました。

1. 日帝による文化政策の残滓を一掃すること。
2. 演劇の人民的基礎を固め、封建的・特殊階級的・反民主的な要素を排除すること。
3. 世界演劇の一環として民族演劇を発展させるための事業を進めること。
4. 文化の統一前線の強化を図ること。

これらの方針に基づき、演建傘下には多くの劇団が設立されました。人民劇場、自由劇場、青葡萄、日午劇場、同志、革命劇場、ソウル芸術劇場、白花、朝鮮芸術劇場など、様々な劇団が1945年9月から10月にかけて活動を開始しました。さらに、その後も解放劇場や民芸、前線、再建土月会、朗朗劇会、青春劇場など新たな団体が生まれ、演劇シーンは活気を帯びました。

演建はまた、演劇研究所や国立劇場、演劇映画学校の設立、演劇雑誌の発行など、多彩な計画を持ち、戦災民の義捐金募金や連合軍入城の歓迎講演なども企画し、地域社会に貢献しました。

解体とその後

しかし、連合軍の軍政が始まると、理念的な対立が表面化し、演建は困難な状況に直面しました。右派に属する柳致真や徐恒錫が脱退したのを皮切りに、左翼系も内部で分裂し、強硬派と穏健派の争いが発生しました。1945年9月27日、強硬派は朝鮮演劇建設本部から離脱し、朝鮮プロレタリア演劇同盟を結成します。

最終的に、残ったメンバーは解体を宣言し、その後、朝鮮プロレタリア演劇同盟に参加することになります。そして1945年12月20日には新たに朝鮮演劇同盟が設立され、演劇界の新たな流れを作り出しました。これにより、朝鮮演劇建設本部はその役割を終えることとなりましたが、その影響は後の演劇活動に引き継がれていくことになります。

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