朝鮮総督府鉄道ミカサ形蒸気機関車

朝鮮総督府鉄道ミカサ形蒸気機関車

朝鮮総督府鉄道ミカサ形蒸気機関車は、日本統治時代の朝鮮において貨物輸送のために設計されたテンダ式の蒸気機関車です。この形式の名称「ミカサ」は、ホワイト式車輪配置2-8-2に基づいています。この機関車は1927年から1945年までの間に製造され、合計で359両が作られました。製造元には、日本国内の鉄道工場や朝鮮総督府鉄道の工場が含まれています。

概要

ミカサ形蒸気機関車は、過熱式の単式2気筒エンジンを採用しており、朝鮮総督府鉄道で最も代表的な貨物用機関車として広く使用されました。設計には朝鮮の特性を考慮しており、そのため非常に使いやすい特性を持っています。特にボイラー部分は、朝鮮での燃料の特性に合わせて改良が施されており、熱量の低い褐炭でも効率よく燃焼できるように設計されています。この結果、ボイラーの燃焼効率が向上するとともに、長期間にわたって運用されることが可能となりました。

外観はアメリカタイプに類似し、砂箱や蒸気ドームが特徴的な形をしています。また、前部に円弧を描くランボードがあり、これが前端梁と繋がっていることも特徴の一つです。初期の27両とその後の製造車では、煙突や蒸気ドームの形状がわずかに異なっています。このような工夫が各車両に施されており、機関車の耐久性と運転の円滑さが保たれました。

製造と配備

最初の形式称号は「ミカサ」であり、1938年までに製造された70両は1701から1770までの番号が付けられました。その後、称号規程の改正により、ミカサ1からミカサ70に改番されています。ミカサ形は、複数の製造元からの協力により、年を追って製造されていきました。1935年までに京城工場などで製造が進み、最終的には約300両以上が日本と朝鮮の各地で運行されました。

運用の歴史

この機関車は、主に京釜線や京義線といった主要路線で使用されていました。太平洋戦争の最中、大規模な工業化が進む朝鮮半島で、その需要に応えるため多くのミカサ形機関車が現場に配置されました。しかし、 behoefteの伸びに対して製造が追いつかず、他のタイプの蒸気機関車を借りて対応する局面もありました。戦後、この機関車は北朝鮮と韓国の鉄道会社にそれぞれ受け継がれ、韓国では1960年代初頭まで使用され続けました。

保存状況

現在、ミカサ形機関車の数両が韓国にて静態保存されており、それらは主に観光施設や鉄道関連の博物館で見ることができます。特に、ミカ3129は文化財として登録され、大田広域市の国立大田顕忠院に展示されています。他の保存車両も義王市や坡州市など、各地に点在しています。また、中国では解放9型として改称され、1990年代まで使用されていたことが確認されています。

このように、ミカサ形蒸気機関車は一時代の象徴として存在し、今でもその数少ない子孫たちが鉄道の歴史の一部として記憶されています。

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