木の脚作戦

木の脚作戦（Operation Wooden Leg）

木の脚作戦は、1985年10月1日にイスラエル空軍がチュニジアのチュニスにあるパレスチナ解放機構（PLO）本部に対して実施した主要な爆撃作戦です。この作戦は、同年9月25日にキプロスで発生したPLO部隊によるテロ行為への報復として行われました。

作戦の背景

1982年に行われたレバノン侵攻後、PLOはチュニジアに拠点を移していました。そして、1985年9月25日、ヨム・キプールの最中にPLOのエリート部隊フォース17のガンマンが、キプロスのラルカナ沖でイスラエルの小型船をハイジャックし、乗っていたイスラエル人旅行者3名を射殺する事件が発生しました。この短い間に、旅行者たちは彼らがモサドの工作員だとされる根拠が与えられた上で命を奪われました。この行為は多くの人々に衝撃を与え、イスラエル内部で即時の報復が求められることとなります。

イスラエル海軍は、数週間前にPLOの指導者ファイサル・アブー・シャラフを捕らえたことから、この攻撃を行ったとされます。逮捕後、シャラフはイスラエルに移送され、尋問を受けた後に重い刑罰を科せられました。これによってイスラエルの報復計画はより強まっていきました。

作戦の実施

木の脚作戦は、チュニジアのPLO司令部を標的にした爆撃作戦でした。イスラエル空軍はF-15戦闘機を使用し、この機体は通常は制空戦闘機として運用されていましたが、今回は地上攻撃能力を生かして戦闘爆撃機の役割を果たしました。チュニスまでの距離が2300kmに達するため、F-16の不足や航続距離の問題からF-15が選ばれました。

作戦には10機のF-15（うち8機が爆装、2機が予備機）とボーイング707型空中給油機が投入され、10月1日の午前7時に離陸しました。F-15は地中海を経由し、イオニア海上空で空中給油を受けた後、チュニスへ向かいました。チュニス郊外の海辺から2機ずつで爆撃を行い、PLO本部に壊滅的な損害を与え、60名以上の要員が死亡しました。ただし、その時アラファート議長は外出中であったために難を逃れました。全機が無事にイスラエルへ帰還し、作戦は成功とされました。

国際的な反響

この攻撃は国際法の観点から問題視され、チュニジアの領空を侵犯した上での攻撃であったため、イスラエルは国際的な非難に直面しました。10月4日には国際連合安全保障理事会が決議573を提出し、アメリカの棄権を除いた14票の賛成で非難決議が可決されました。この決議では、アメリカ合衆国の当時の大統領ロナルド・レーガンも後にこの爆撃を非難することになるなど、国際的な波紋を広げました。

まとめ

木の脚作戦は、イスラエルとPLO間の緊張が高まる中で行われた象徴的な反撃でした。このような背景には、長年の対立やテロ行為が影響しており、作戦の結果は多くの議論を呼び起こしました。PLOはこの空爆を受けた後、事務所をチュニス市内の住宅街に移転せざるを得なくなりました。

もう一度検索