木川剛志

木川 剛志（きがわ つよし）

1976年8月21日生まれ。日本の研究者で、専門分野は都市計画学および観光学にわたります。現在は和歌山大学観光学部で教授を務め、博士（工学）の学位を持っています。

生い立ちと学歴

木川氏は京都市上京区上七軒界隈で誕生しました。祖父は、第一映画、新興京都、大映といった映画会社で美術制作に携わった職人、木川義人氏です。祖父の仕事場に出入りする中で木工に関心を持った父が建築家になった影響を受け、木川氏自身も幼い頃から建築に興味を抱きながら成長しました。学業は京都市立翔鸞小学校から大津市立富士見小学校へ転校し、主に大津市で過ごしました。その後、1992年に洛南高等学校Ⅲ類に入学しています。

1995年に京都工芸繊維大学造形工学科へ進学し、西村征一郎研究室に配属されました。大学在学中からアジアの建築、特にスリランカの建築家ジェフリー・バワの作品に関心を持ち、1999年3月の卒業後は、同年4月からスリランカの設計事務所であるGruhastaやSuchith Mohotti Private Associateなどでジュニア・アーキテクトとして実務経験を積みました。帰国後も中国の大連やアメリカのマイアミにある設計事務所でインターンシップを重ね、国際的な視野を広げます。2001年からはユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの建築学部修士課程（Architectural Advanced Course）に入学し、ビル・ヒラー、ジュリアン・ハンソン、アラン・ペンといった著名な研究者からスペース・シンタックス理論を深く学びました。帰国後、京都工芸繊維大学機能科学専攻の博士後期課程に進み、2006年に博士（工学）の学位を取得しています。

教員としてのキャリアと地域での活動

博士号取得後の2006年より、福井工業大学経営情報学科の講師に着任しました。2010年には同学のデザイン学科メディアデザインコース准教授に昇任。福井での勤務中、福井市が主体となり福井駅前の活性化を目指したアートイベント「フクイ夢アート」では企画委員としてイベントの実施に貢献しました。また、地域の文化振興にも深く関わり、2012年には福井市出身の俳優、津田寛治氏を監督に迎えた映画「カタラズのまちで」でプロデューサーを務めます。この経験をきっかけに、自身も監督として短編映画の製作を開始しました。さらに、2014年1月には福井駅前に落語専門の寄席小屋「福井駅前寄席きたまえ亭」を鳴尾健氏らとともに設立し、年末の休館まで事務局長として運営に携わりました。

2015年4月からは和歌山大学観光学部へ移籍し、准教授に着任しました。和歌山でも文化活動は続き、2017年には自身が監督した短編映画「替わり目」が第9回商店街映画祭でグランプリと串田和美監督賞を受賞するなど高い評価を受けました。また、2015年10月には津田寛治氏を審査員長に迎え、福井駅前短編映画祭を立ち上げ、実行委員会代表として現在も運営に携わっています。和歌山大学では観光学の研究者として、特に観光映像の研究を推進し、その成果として2018年3月には日本で初めて観光映像に特化した映画祭である日本国際観光映像祭（Japan World's Tourism Film Festival）を創設しました。2020年4月には観光学部教授に昇任し、研究・教育活動に邁進しています。

その他の活動

研究・教育活動や文化活動に加え、メディアへの出演や新聞連載も行っています。テレビでは朝日放送「キャスト - CAST - 」、テレビ朝日系列「テレメンタリー」、テレビ和歌山「みんなで作る和歌山情報わくわく編集部」などに出演し、自身の研究や活動、関心事について語っています。新聞では、朝日新聞和歌山版で「ウラマチぶらり」、日刊県民福井で「落語のツボ」といったコラムを連載し、地域の情報発信や文化紹介を行ってきました。

木川氏は、都市計画や観光といったアカデミックな分野の研究者であると同時に、映画製作や寄席運営、映画祭の創設など、地域に根差した文化活動を通じて社会と深く関わる、多才な人物です。

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