木曾義康

木曾義康について

木曾義康は、戦国時代の武将であり、信濃国木曾谷を支配した木曾氏の当主です。生年は不明ですが、天文11年（1542年）頃には家督を継承していたと考えられています。

武田氏への出仕

天文10年代、甲斐国の武田晴信（後の信玄）は信濃侵攻を本格化させ、天文22年（1553年）には東信濃・中信濃を制圧しました。翌年には南信濃にも侵攻し、伊那郡を支配下に置きました。この頃、木曾義康も武田氏に出仕したとされています。

武田氏が伊那谷南部を制圧すると、東美濃の遠山氏も武田氏に帰属し、美濃の斎藤氏との関係が悪化しました。弘治元年（1555年）には、斎藤道三と織田信長が遠山領に侵攻し、武田氏は援軍を派遣しています。義康はこの東美濃の情勢を信玄に伝えたとされています。

木曾氏の立場

笹本正治は、義康の出仕を弘治元年8月頃と推測しています。当時の木曾氏は、武田氏と接する位置にあり、武田氏にとっては長尾景虎（上杉謙信）への対応が優先されていたことや、斎藤氏との緩衝地帯としての役割が期待されていました。そのため、木曾氏は諏訪氏や小笠原氏のように滅亡や追放の対象とはならなかったと考えられています。しかし、武田氏は木曾氏の独立性を制約するため、家臣を送り込むなどの政策も採っていました。

武田氏の親族衆として

その後、義康は子の義昌の妻に信玄の娘（真理姫）を迎えるなど、武田家の親族衆として義昌とともに活躍しました。永禄3年（1560年）には、飛騨の三木氏を撃退するなどの功績を挙げています。

永禄8年（1565年）には、木曾一族が木曽黒澤若宮八幡神社に三十六歌仙板絵を奉納しており、義康は「宗春」の名で、当主の義昌に次ぐ3枚を寄進しています。

苗木遠山氏との戦い

元亀4年(天正元年)（1573年）8月、苗木城主の遠山友忠が木曾を攻めようとしましたが、川上平左衛門が夜襲をかけ、遠山勢を撃退しました。義昌はその後、河折籠屋を攻め落とし、苗木を攻めました。この功により、川上平左衛門は義康から感状と坂下村500貫を与えられました。

このように、木曾義康は戦国時代の激動の中で、木曾氏の存続のために武田氏との関係を深め、その中で一定の役割を果たした人物と言えるでしょう。

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