三木氏

三木氏（みきし）

三木氏は、日本各地に存在する氏族であり、中世から近世にかけて、武士や豪族、国人として各地で活躍しました。それぞれの地域で異なる出自を持ち、歴史を刻んでいます。

各地の三木氏

飛騨三木氏

飛騨の三木氏（みつきし）は、藤原秀郷流、または宇多源氏佐々木氏支流の多賀氏流とされています。ただし、佐々木氏と多賀氏が同祖ではないため、藤原秀郷流とする説が有力です。室町時代には、飛騨守護京極氏の被官として、近江国甲賀郡三木から飛騨国に入国し、益田郡に勢力を持ちました。その後、三木良頼の時代に姉小路家の内紛に乗じて姉小路古川家を乗っ取り、その名跡を継承しました。以降は、姉小路氏として知られています。

歴代

『飛州志』に収録されている系図によれば、以下の通りです。

三木正頼（藤原氏）
三木久頼
三木重頼
三木直頼
三木良頼（姉小路嗣頼）
三木自綱（姉小路頼綱）
姉小路秀綱

（以降の系譜は姉小路氏を参照）

阿波三木氏

阿波の三木氏は、阿波忌部氏の後裔氏族であり、阿波国麻植郡の旧家です。鎌倉時代後期から麻殖氏の宗家として活躍し、南北朝時代には南朝に属しました。室町時代には阿波細川氏の被官となり、その後、三木姓を称しました。天正13年（1585年）の蜂須賀家政の阿波入国時には、当主の三木義村が蜂須賀側につき、一揆鎮圧に貢献しました。江戸時代には帰農し、麻植郡周辺の大庄屋を務めました。阿波国麻植郡三ツ木村には、江戸時代に建築された三木家住宅が現存しており、子孫には三木申三や三木忠雄がいます。歴代の宗家当主は、大嘗祭に麻植の麻で作られた御衣を天皇家に献上しており、現在もその伝統が受け継がれています。

讃岐三木氏

讃岐の三木氏は、二つの系統があります。

神櫛王を祖とする系統: 讃岐国造の後裔氏族で、室町時代前期から中期にかけて、讃岐国三木郡に勢力を持ちました。大化の改新前後では御城氏（みきし）を称していたとも言われています。
橘氏支流の系統: 讃岐永成の一子である讃岐元重が讃岐国三木郡を領し、三木氏を称したことに始まります。戦国時代初頭には三木高長が強勢を誇りましたが、戦国時代末期に三木秀成が十河存保に従い各地を転戦し、若くして戦死したため、この系統は断絶しました。

播磨三木氏

播磨の三木氏は、伊予国の河野氏の支流とされ、播磨国神崎郡三木を拠点とした国人です。室町時代には播磨国英賀に勢力を持ち、英賀城主でした。三木通秋などが知られています。羽柴秀吉の中国制圧後、神崎郡辻川に移住し、江戸時代後期には姫路藩の大庄屋となりました。江戸時代に建築された三木氏住宅が兵庫県指定文化財となっています。

三河三木氏

三河の三木氏は、三河国碧海郡三木郷（現在の愛知県岡崎市上三ツ木町）を発祥とする松平氏の庶流です。松平信忠の子である松平康孝を祖とする家柄とされますが、康孝ではなく、兄の信孝を三木松平家初代とする文献も存在します。

三木家

京には、宇多源氏五辻家の支流である三木家が存在しました。

史料

三木氏に関する史料として、以下のものが挙げられます。

『言継卿記』
『明叔禄』
『飛州志』
『斐太後風土記』
『飛騨遺乗合府』

参考文献

岡村守彦『飛騨中世史の研究』（復刻）戎光祥出版、2013年11月。ISBN 9784864030991。
奥富敬之『日本家系・系図大事典』東京堂出版、2008年7月。ISBN 9784490107364。
谷口研語『飛騨三木一族』新人物往来社、2007年3月。ISBN 9784404034489。
中井均; 堀祥岳; 佐伯哲也; 馬場伸一郎『城から探る飛騨南部の戦国時代』下呂市教育委員会・下呂ふるさと歴史記念館、2014年10月5日。
長谷川忠崇 著「国立国会図書館デジタルコレクション 第6巻 古城部 三木氏略図」、岡村利平 編『飛騨叢書. 1 飛州志』住伊書店、1911年（原著1745年）。全国書誌番号:40008923。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/765268/98 国立国会図書館デジタルコレクション。
森岡浩『日本の名家・旧家』洋泉社、2017年1月。ISBN 9784800311351。

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