木村守江

木村守江：激動の時代を生きた福島県知事

木村守江（きむら もりえ）は、1900年に福島県いわき市で生まれ、医師、政治家として活動した人物です。1996年に96歳で亡くなるまで、激動の時代を駆け抜けました。

生い立ちと医師としてのキャリア

旧制磐城中学（現福島県立磐城高等学校）、慶應義塾大学医学部を卒業後、医学博士を取得。開業医として地域医療に貢献しました。しかし、1938年には軍医として中国に派遣され、第二次世界大戦中にはニューギニアなどにも従軍しています。

政界への転身

戦後、木村は政治の世界へ足を踏み入れます。1950年には参議院議員に初当選。その後、衆議院議員に転身し、3期連続で当選を果たしました。

福島県知事としての功績と挫折

1964年、木村は福島県知事に就任。高度経済成長期において、インフラ整備、大合併による郡山市やいわき市の成立、農村部への工業誘致、原発立地などを推進しました。特に、福島第一原子力発電所の誘致は、前知事の決定を継承し、さらに浪江・小高原子力発電所の誘致も表明するなど、原子力発電に大きな期待を寄せていました。

1975年には全国知事会の会長にも就任しましたが、1976年、公職選挙法違反で県連幹部らが逮捕されると、木村自身の収賄疑惑が浮上します。当初は辞任を拒否しましたが、検察の追及に耐えきれず、ついに知事を辞任しました。その後、収賄罪で有罪判決を受け、公選知事経験者として初の汚職による有罪となりました。

失意の中での晩年

有罪判決後、木村は勲章を返上し、静かに暮らしました。しかし、1981年には特別養護老人ホーム「楽寿荘」を開設し、高齢者福祉にも貢献しました。また、晩年はゴルフや登山を楽しみ、高齢登山者番付で東の正横綱になるなど、アクティブな一面も持ち合わせていました。

親族

妻は木村ノブ（木村清治五女）です。

関連人物

佐藤善一郎: 前任の福島県知事。
木川田一隆: 東京電力社長、福島第一原子力発電所着工当時。
* 天野光晴: 木村と同じ浜通り出身の衆議院議員で、原発誘致に尽力。

まとめ

木村守江は、福島県の発展に大きく貢献した一方で、汚職事件という負の側面も持ち合わせる複雑な人物です。高度経済成長期の地方政治を考える上で、重要な人物の一人と言えるでしょう。

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